研究課題
本研究では、ヒストンのリジンアセチル化修飾を含むクロマチンを試験管内で再構成し、それを生化学的に機能解析するとともに培養細胞内に導入するための技術開発を目指した。本年度は、無細胞転写・翻訳システムの利用により無修飾およびアセチル化した長鎖クロマチンの試験管内再構成を検討するとともに、ヒストンのリジンアセチル化を担うアセチル基転移酵素とクロマチンとの複合体を再構成する技術を開発し、その機能を解析した。研究代表者は、昨年度までに再構成することができた約3kbのクロマチンの調製方法に従って約200kbの環状プラスミドDNAを試験管内でクロマチン化する方法を検討した。この長鎖のクロマチン調製は技術的に困難だったことから、調製が可能なより短鎖のヌクレオソームの分子内ヒストンのN末端テイル領域をマルチアセチル化したヌクレオソームを調製し、それらのヌクレオソームの熱安定性を無修飾ヌクレオソームと比較検討した。その結果、ヒストンH2BのN末端テイルが事前にアセチル化されているとヌクレオソームからH2A-H2Bの二量体が選択的に脱落しやすくなり、ヌクレオソームが不安定化されることを突きとめた。研究分担者は、これまでに、研究代表者が作製した無細胞転写・翻訳システムにおける転写・翻訳反応をモニターできる系を細胞サイズリポソームに封入し、再現性良くリポソーム内で転写・翻訳反応が観察可能になった。本年度はリポソームの電荷の違いがリポソーム内へ封入されるプラスミドDNA量、リポソーム内における転写反応量や翻訳反応量のどこに影響を及ぼすかを検討した。その結果、リポソームの電荷が翻訳反応量に影響を及ぼすことが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
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