1)LDのテザリング-リリースモデルの証明 本研究では花粉内でLDと小胞体が癒着した構造を取っていることに着目する.これまでの研究で、シロイヌナズナにおけるVPS13アイソフォームa(VPS13a)を欠損した変異体では、花粉発芽時にLDが小胞体からリリースされない事を見出してきた.一方、その他のVPS13とは異なり、AtVPS13aは 中央部にC2と呼ばれるカルシウム 依存的な膜結合ドメインを持ち、このC2ドメインを削除することで花粉発芽能力が失われることをこれまでに明らかにした.さらに、VPS13aは花粉管の先端へ と局在することを示したが、C2ドメインを失うことでその局在性が失われることを示した.ショ糖密度勾配遠心や免疫沈降法を用いて、VPS13aはエキソサイトーシスに関わる複合体サブユニットと相互作用することを明らかにした. 2)ライブイメージングと遺伝子操作によるLDの細胞内機能の解析 生細胞におけるLDの可視化系はすでに確立しており、伸長する花粉管の中でそれを捉える事も可能である.一方、LDの形成に関わるSeipinタンパク質の変異体で はLDが巨大化(Taurino et al. 2018)する事が報告されている.これまでの研究でseipin変異体を作出し、それと同時にVPS13aを可視化する系統を作出した.そしてそれらの系統と光褪色後蛍光回復法をもちいてVPS13aの細胞内における挙動の調査を行なった.VPS13aは花粉管中の伸長先端領域に局在することが明らかとなった.また、VPS13a機能を欠損した変異体では、分泌小胞のマーカーであるRAB4bが花粉管先端に正常に局在できなくなることを見出した.
|