研究課題/領域番号 |
20K21420
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
若林 憲一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (80420248)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
キーワード | クラミドモナス / 繊毛 / 鞭毛 / ダイニン / 微小管 |
研究実績の概要 |
本研究は、モデル緑藻クラミドモナスを用いて、バイコンタ生物(藻類、植物など)が1細胞あたり2本もつ鞭毛・繊毛の違いを分子レベルで明らかにすることを目的としている。 本年度は2つのアプローチで2本の鞭毛の違いに迫った。1つはミュータント作成である。内腕ダイニンのa,c,dの3種を欠損したida4株と、外腕ダイニンのα重鎖を欠損したoda11株の二重欠損株の細胞の多くが、2本の鞭毛のうち片方しか打たないことがわかっている。3つの内腕のどれかと、外腕α重鎖の間の相互作用が2本の鞭毛の間で非対称であることを作業仮説として、内腕を1種のみ欠損した株とoda11をかけ合わせ、片方だけしか打たないかどうかを探った。前年度に、すでに内腕cを欠損したida9株とoda11の二重欠損株が両方の鞭毛を打つことを明らかにしていた。本年度はoda11株を親株として、CRSPR/Cas9を用いて内腕d重鎖遺伝子をノックアウトした。しかし、やはり両方の鞭毛を打つことがわかった。現在、同様にして内腕a重鎖遺伝子をノックアウトする実験が進行中である。 並行して、前年度に作成した「ida4oda11株の鞭毛のみで失われるタンパク質」のリストに記載される19種のタンパク質のうち、米国のクラミドモナスリソースセンターに欠損株が存在する17種の欠損株を取り寄せ、表現型を検証した。しかし、この中には片方のみ打つ変異株は存在しなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2本の鞭毛の違いを生み出すタンパク質の絞り込みはできているものの、同定にはまだ至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
2つの実験を行う。1つは、oda11を親株とした内腕aの欠損株を作成する。もしもこの株も両方とも打つ場合は、「内腕2種」を欠損した株をoda11株を親株として作成することを検討する。もう1つは、19種の候補タンパク質のうち残りの2つについて、CRISPR/Cas9を用いて欠損株を作成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
内腕の1種欠損株と外腕欠損株の二重欠損株の作成に時間がかかってしまった。これは、もともと共同研究者から得た「内腕1種欠損株」が実際には完全なノックアウト株になっていなかったことによるもので、それの検証に時間がかかり、その後にかけ合わせによる二重変異株の取得でなくゲノム編集による作成に方針を切り替えたことで時間を大きくロスしてしまった。
|