研究課題
本研究は、バイコンタ生物(1細胞あたり2本の繊毛を生やす単細胞生物を祖先とする生物群)がもつ2本の繊毛(または鞭毛)の違いを分子レベルで明らかにすることを目指すものである。繊毛研究のモデル生物として知られる単細胞緑藻クラミドモナスは2本の繊毛を平泳ぎのように動かして遊泳する。2本の繊毛は一見するとほぼ同じように運動しているが、繊毛打頻度やカルシウムイオン感受性などいくつかの点で違いが指摘されている。多くのバイコンタ生物では2本の繊毛により顕著な違いが指摘されている。たとえば、コケ精子の前鞭毛と後鞭毛は運動様式が全く異なる。クラミドモナスの2本の繊毛の質的な違いを明らかにすることで、バイコンタ生物に共通する2本の繊毛の違いを明らかにするための突破口となり得る。本研究の最終年度では、本計画の発案端緒となった「2本のうち1方の繊毛しか動かさないクラミドモナス変異株」のクライオ電子顕微鏡による構造解析を行った。2本の繊毛を含む「核-鞭毛装置(nucleoflagellar apparatus)」を細胞から単離し、クライオ電子顕微鏡トモグラフィーによって得られた像のうち、2本の違いを抽出したところ、一部の構造について2本の差を見出した。現在、この構造の分子的実態を明らかにする試みをしている。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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