研究課題
多細胞生物の発生や環境応答などに関わる内在性の新重要シグナルの発見は、それ以前までの制御モデルの改訂や大きな見直しにつながることから、その分野の発展の大きな節目となることが多く、新シグナル分子の機能の発見1つ1つが新しい研究展開・研究転換の萌芽的起点となる。本研究では、その起点の新発見を目指し、植物の機能未知分泌ペプチド群の中から新機能を持つ因子群を同定し、その着目した分泌ペプチドの発現の部位を細胞種レベルの解像度で解析することで、そのシグナル経路においてシグナル発信センターの役目を果たす細胞を特定することを目指している。本年度は、まずは機能未知の分泌ペプチド群の独自変異体ライブラリーの整備を進めてきた。その上で、整備の進んだ集団の中から興味深い表現型を呈する変異体の探索も順次進めてきた。その結果、現在までに、根に異常を示す変異体、野生型の生育が低下する低栄養条件下でも成長できる変異体など、興味深い表現型を示す変異体が見つかり始めている。これら見つかってきた因子群に関しては、CRISPR/Cas9を用いて別の変異アレルの作成を進めており、見つけた表現型が実際に着目した遺伝子の変異が原因であるのかの検証を進めている。また、同時進行で、着目した因子の発現場所を特定するためのレポーター遺伝子の作成と植物体への導入作業も進めている。整備目標にしている遺伝子群の中でまだ変異体が未整備なものが残っているので、その整備も着実に進めている。
2: おおむね順調に進展している
独自の変異体ライブラリーの作成も着実に進んでおり、それを活用することで、機能未知分泌ペプチド群の中からの新機能を持つ因子群を同定も進み始めている。また、その着目因子群の検証や発現部位解析の準備も進んでいる。以上のことから、研究は順調に進んでいると判断している。
整備目標にしている遺伝子群の中でまだ変異体が未整備なものの整備を進め、新機能を持つ因子群のさらなる同定を進める。着目した因子群に関しては、別の変異アレルの作成により、見つけた表現型が実際に着目した遺伝子の変異が原因であるのかの検証を行う。また、着目因子各々の発現部位を特定するためのレポーター遺伝子の植物体への導入を進めて、実際にその観察を行うことで、そのシグナル経路においてシグナル発信センターの役目を果たす細胞を特定する。
作成を進めてきた植物の解析を次年度に行うことになったため。植物体の栽培、および、その解析を実施するために使用する。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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