植物細胞の増殖と組織における形づくりは正確な細胞分裂の制御に委ねられている。真核生物の細胞分裂は微小管によって実行され、植物細胞では微小管は細胞周期に応じて、表層微小管・分裂準備帯・紡錘体・隔膜形成体といった特徴的な構造を再構築し機能している。中心体のような決まった微小管形成中心に依存せずに組み立てられる植物細胞の微小管構造構築機構は謎が多い。微小管形成装置や微小管切断装置が再配置に重要と考えられるが、例えば、どのように微小管はその構造体を紡錘体から隔膜形成体に変化させるか?など重要であるにもかかわらず理解されていない。本研究では、γチューブリン複合体とカタニンの時間的空間的な機能を理解することを目的とし、ライブイメージング中のタンパク質機能阻害技術の確立に挑戦する。これまで、低い温度でタンパク質分解が誘導できるlt-degronをカタニンp60サブユニットとNEDD1に付加したプラスミドを作成し、植物体に導入したが、lt-degronを付加した機能的なカタニンp60とNEDD1を持つ植物体は作出できなかった。本年度は、他のカタニン複合体因子であるp80サブユニットや重合核因子であるGIP1aを標的とした植物を作成した。lt-degron:GIP1aを発現するシロイヌナズナの根において、温度の上昇によりlt-degron:GIP1aが消失することが確認できた。現在、機能欠損株や微小管マーカーラインとの掛け合わせを行っている。
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