研究課題
ノンコーディング領域に隠されたヒトの朝型・夜型を決める制御機構の同定に挑戦するという目標に向け、昨年度に引き続き、当初の計画に従い研究を実施することができた。すなわち、昨年度の調査スクリーニングの結果から選別した遺伝子間ゲノム領域およびmRNAの5’非翻訳領域/3’非翻訳領域において進化的に保存されたノンコーディングエレメントに対し、特異的点変異を導入した遺伝子改変マウスを作成し、それらの自発行動リズムおよび細胞組織における遺伝子/蛋白質発現リズムを調査した結果、体内時計の機能に影響を及ぼす可能性のあるエレメントを複数同定することができた。特に本年はその中でも、体内時計のコアの振動子であるPer2遺伝子の5’非翻訳領域に最小単位upstream open reading frameというこれまで見過ごされてきた新しいRNA配列を同定し、これが細胞時計のリズムの位相合わせに必須であることを明らかにすることができた: Miyake et al., Cell Rep 42, 112157, 2023; 科学新聞「体内リズムの時刻合わせ役 新たなRNA配列発見」2023年3月17日 3面。重要なことに、本エレメントは生体でみられる微小な生理的レベルの体温変動に対する細胞時計の位相同調に必須である。このように蛋白質をコードしないノンコーディング領域のDNA/RNA配列には想像以上に大きい役割が隠されているある可能性がある。仮説検証に向け、当初の計画に沿って研究を進めることができたといえる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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