研究実績の概要 |
エクソソームは、ガン細胞から分泌されることに加え、多様な通常組織の細胞からも分泌されることが知られており、エクソソームが細胞間や組織間のコミュニ ケーションに利用されている可能性が非常に注目されている。本研究では、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)によるエクソソーム分泌制御を光感受性GPCRである動物オプシンを用いた光遺伝学により解明するとともに、エクソソーム分泌制御の光遺伝学ツールを、動物オプシンを用いて創生することをめざす。 前年度の解析により、培養細胞におけるエクソソームの分泌量の光依存的な増減のメカニズムを知るためには、個々のオプシンが活性化するGタンパク質の種類を詳細に明らかにする必要性を見出した。今年度は、視覚オプシン1種類と非視覚オプシン3種類(TMTオプシンなど)について、活性化するGタンパク質(アルファサブユニット)の種類を解析した。具体的には、培養細胞に発現している12種類のGαを含む16種類のGα(Gs, Gi1, Gi2, Gi, GoA, GoB, Gz, Gq, G11, G12, G13, G14, G15等)に対して、発光タンパク質(NanoBit, プロメガ)を利用した実時間解析を繰り返し行い、統計学的に有意に活性化するGαを調べた。その結果、これまでGi/Go共役型オプシンとして纏められていた比較近縁な上述4種類のオプシンであっても、活性化するGαの種類や効率に違いがあることを見出した。すなわち、詳細な様々な種類のGタンパク質に対する活性化能とエクソソームの光依存的分泌制御(増加と減少)を明確にすることにより、エクソソーム光遺伝学ツールを開発できることが示唆された。
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