研究実績の概要 |
エクソソームは、ガン細胞から分泌されることに加え、多様な通常組織の細胞からも分泌されることが知られており、エクソソームが細胞間や組織間のコミュニケーションに利用されている可能性が非常に注目されている。本研究では、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)によるエクソソーム分泌制御を光感受性GPCRである動物オプシンを用いた光遺伝学により解明するとともに、エクソソーム分泌制御の光遺伝学ツールを、動物オプシンを用いて創生することをめざした。 これまでの解析により、培養細胞におけるエクソソームの分泌量の光依存的な増減のメカニズムを知るためには、培養細胞において、個々のオプシンが活性化するGタンパク質の種類を詳細に比較する必要があること明らかにした。今年度は、前年度に引き続き、脊椎動物の視覚オプシン1種類と非視覚オプシン1種類について、培養細胞に発現している12種類のGタンパク質についての活性化能を、発光タンパク質(NanoBit, プロメガ)を利用して比較解析するとともに、セカンドメッセンジャーcAMPの変化に対する百日咳毒素(PTX)の効果についても詳細に比較した。その結果、培養細胞において、視覚オプシンはGi/Goの活性化を介してcAMPの減少を引き起こしいるのに対して、非視覚オプシンでは、Gi/Goに加えてそれ以外のGタンパク質(PTX非感受性)の活性化を介してcAMPの減少を引き起こしていることを発見した。培養細胞におけるエクソソームの光操作について、これら2種類のオプシンは異なるツールとして利用できる可能性が示唆された。これらオプシンを利用した生体組織系における光遺伝学についても解析を開始した。
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