研究課題/領域番号 |
20K21438
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
嶋田 勢津子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (40432033)
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研究分担者 |
蒔田 由布子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (80443026)
鈴木 重勝 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 特別研究員 (10785108) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 光受容体 / 藻類 / 海洋メタゲノム / フィトクロム / クリプトクロム |
研究実績の概要 |
本研究では、海洋メタゲノムデータから発見された赤色光受容体フィトクロムと青色光受容体クリプトクロムの構造を併せ持つ新型キメラ光受容体PHYCRYの遺伝子について機能の解明を進めている。 I. PHYCRY遺伝子の分光学的解析については、共同研究者である静岡大学の、伏見圭司氏、成川礼氏により実施された。大腸菌で PHY、CRY の光感知領域をそれぞれ発現し、解析を行った。PHY領域は、陸上植物のフィトクロムとは異なり、橙色光と遠赤色光で可逆的に光変換する特徴を示した。CRY領域は、FADを非共有的に結合し、暗状態では青色光を吸収し、青色光照射により紫外光吸収型へと変換した。緑藻や植物ではなく、動物型のクリプトクロムの光反応と類似していた。 II. 生物的機能については、シロイヌナズナの光受容体欠損変異体で相補解析を行うためにphyB、cry2欠損変異体へPHYCRYを導入した形質転換体を作製した。プラシノ藻類の欠損変異体は作製できず、単色光でのRNA-seq解析を実施した。 III. Pycnococcus provasoliiのゲノム中にPHYCRY遺伝子の存在を確認し、関連遺伝子を網羅的に解析するために、NIES-2893株のゲノム配列を世界で初めて決定した。そのゲノムは23 Mbpであり、11,330遺伝子がコードされていた。ゲノム中にはPHYCRY遺伝子の他に、5つのCry遺伝子が存在し、Phy遺伝子は見つからなかった。それら光受容体遺伝子の系統解析を行ったところ、PHYCRY遺伝子のCRY部分はP. provasolii のCry遺伝子と単系統群を形成し、PHY部分は近縁種のNephroselmisのPhy遺伝子と単系統性を示した。このことはPHYCRY遺伝子がP. provasolii の系統において、遺伝子融合によって生じたことを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
I. 分光学的特性の解析については、当初の計画よりも解析が進み、分光学的性質を解析することができた。II. 生物的機能解析については計画よりも遅れており、プラシノ藻の欠損変異体を作成する事ができなかったが、単色光でのRNA-seq解析を実施した。シロイヌナズナの相補実験については、形質転換体を作成する事ができた。III. プラシノ藻の全ゲノム配列の決定、光受容体遺伝子の系統解析については、当初の計画よりも解析が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
II. 生物的機能解析については、単色光にプラシノ藻の欠損変異体の作出を目指す。シロイヌナズナの相補実験については、作成した形質転換体の芽生えの胚軸形態を解析する。PHYCRY-GFP、CRY-GFP、PHY-GFPのコンストラクトを作成し、細胞内局在を調べたいと考えている。 III. プラシノ藻の全ゲノム配列の決定、光受容体遺伝子の系統解析については、Pycnococcus provasoliiの他の機能を持つ遺伝子について解析を進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、購入する予定だった遺伝子導入装置について機関の共通機器で使用できることになり購入する必要がなくなったが、次年度に予定していたRNA-seq解析を実施した。形質転換体作出と形質転換体作成後にRNA-seq解析を行うため、次年度に繰越を行なった。
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