研究課題/領域番号 |
20K21443
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梅崎 昌裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30292725)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 栄養転換 / 腸内細菌 / ファイトケミカル |
研究実績の概要 |
本研究課題は、エネルギー密度の高い食品の過剰摂取と身体活動の不足という現象が観察されないにもかかわらず、非感染性疾患の有病率が急速に増加するという、いわゆる「辺縁地域」で顕在化する健康問題のメカニズムを、伝統的な食生活では多量に摂取されていたファイトケミカルの摂取と腸内細菌叢の変化に焦点をあてて解明を試みるものである。人類が経験する非感染性疾患の増加という現象の背景にある要因として、ファイトケミカル(野生植物)の摂取量減少と腸内細菌叢の乱れという2点を、健康転換の途上にある人類集団で検討することに挑戦的研究としての意義がある。対象地域は、ラオス北部ウドムサイ県 ナモー郡およびサイ郡の村落である。2021年度は、新型感染症の流行の影響で、ラオスへの渡航が制限されていたため、過去に同地域で収集した濾紙血サンプルをもちいたhs-CRPの測定、可食野生植物サンプルからの有機化合物の抽出/定量、長鎖シーケンサーを用いた腸内細菌叢の再解析、重金属暴露の評価などを実施した。また、新しいサンプルを収集するための代替地として、国内の離島と山間部を選定した。離島では、濾紙血、尿などの生体試料の収集に成功し、現在その解析をすすめている。山間部地域においては、サンプル収集のための予備調査・準備作業をおこなった。このプロジェクトの成果について、American Journal of Human Biology と Human Ecology 誌に成果論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラオスの調査地において当初計画した新しいサンプルの収集は実施できていないものの、調査地で過去に収集したサンプルを対象にした解析によって、本研究課題にかかわる新しい知見が得られている。ラオスの代替調査地として、野生植物摂取がおおいと想定される日本国内の離島/山間部ではフィールド調査、サンプルの収集が実現した。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果は順調に得られているものの、新しいサンプルの収集を実現するために、研究期間を2022年度まで延長した。2022年度は、ラオスで収集したサンプルの分析によって得られた結果の成果出版をすすめるとともに、国内離島/山間部で収集するサンプルの分析をすすめ、「辺縁地域」で顕在化する健康問題のメカニズムを、伝統的な食生活では多量に摂取されていたファイトケミカルの摂取と腸内細菌叢の変化に焦点をあてて解明したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の目的を達成するために延長申請をしたため。
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