• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

水平伝播遺伝子から探る根寄生植物の宿主特異性の進化

研究課題

研究課題/領域番号 20K21446
研究機関京都大学

研究代表者

高山 浩司  京都大学, 理学研究科, 准教授 (60647478)

研究分担者 吉田 聡子  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20450421)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード寄生植物 / 水平伝播遺伝子 / 小笠原諸島 / 海洋島 / 宿主特異性
研究実績の概要

近年のゲノム解析の進展により,、様々な生物種で異なる個体間での遺伝子の移動、すなわち遺伝子の水平伝播の痕跡が明らかとなっている。本研究では、寄生植物と宿主植物との間の水平伝播遺伝子を検出することで、寄生植物の宿主転換の歴史を解明することを目的としている。具体的には、小笠原諸島の固有種で根寄生植物であるシマウツボのゲノム解析を行い、宿主植物からの水平伝播遺伝子の痕跡を探索することで、過去にどのような植物に寄生していたかを解明する。
1.野外調査:小笠原諸島の父島と母島の合計2地点で新たにシマウツボ、宿主根、推定宿主からDNA・RNA抽出用の試料を採集した。
2.今回新たにシマウツボを採集した地点からは、先行研究と同様の方法で宿主根の分子同定(葉緑体DNAのtrnH-psbA領域)を行った。先行研究で得られていた結果の通り、父島のシマウツボはヤロード、母島のシマウツボはオオバシロテツが主な宿主であることを確認した。
3.シマウツボ約20個体に加えて、近縁種のハマウツボ、現在の宿主であるヤロードとオオバシロテツに関して、RNA-seqとDNAシーケンスを行った。得られたデータについて解析を進め、シマウツボ内でハマウツボよりもヤロードやオオバシロテツに類似性を示す遺伝子座(すなわち、水平伝播に由来する可能性がある遺伝子座)が、0.4-1.2%の割合で含まれることが分かった。今後は該当遺伝子座についてより詳細な解析を進め、水平伝播によるものかどうかを検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究開始以前に採集した試料からは、質の高いDNAやRNAの抽出が困難であったため、2021年3月のシマウツボの出現時期に合わせて新たにサンプリングを実施した。2022年度は本サンプルを用いて精力的に解析を進めることができた。一方で、新型コロナウイルスの影響により、小笠原諸島への来島がキャンセルになるなど、追加で実施する予定であった野外調査の実施がやや遅れており、過去の宿主種候補である在来樹種の試料収集が遅れている。

今後の研究の推進方策

RNA-seq解析により水平伝播遺伝子の候補になった遺伝子座について、多種のトランスクリプトームデータとの比較を進めていく。また、現在構築中のドラフトゲノムデータとの比較により、コンタミネーションの可能性を検証して、水平伝播遺伝子であることの確証を得る。

次年度使用額が生じた理由

野外調査の中止などにより、試料収集が遅れ、実験解析が一部遅れた。次年度残りの実験と野外調査を実施する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 非調和な森が織りなす小笠原諸島固有植物の進化2021

    • 著者名/発表者名
      高山浩司
    • 雑誌名

      milsil

      巻: 14 ページ: 9-11

  • [学会発表] 海洋島におけるハマウツボ属寄生植物の送粉者シフト2022

    • 著者名/発表者名
      西村明洋、高山浩司
    • 学会等名
      日本植物分類学会第21回大会
  • [学会発表] 小笠原諸島の自然環境と固有植物2021

    • 著者名/発表者名
      高山浩司
    • 学会等名
      日本植物学会第85回大会
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi