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2020 年度 実施状況報告書

ホシミドロ目藻類の受容体型キナーゼとリガンドから迫る、植物の陸上進出背景

研究課題

研究課題/領域番号 20K21451
研究機関日本女子大学

研究代表者

関本 弘之  日本女子大学, 理学部, 教授 (20281652)

研究分担者 西山 智明  金沢大学, 学際科学実験センター, 助教 (50390688)
池谷 仁里  兵庫県立大学, 生命理学研究科, 客員研究員(研究員) (30531579)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワードアオミドロ / ミカヅキモ / 受容体 / RLK
研究実績の概要

本研究は、陸上植物にもっとも近縁な接合藻類に注目し、植物の多細胞化と陸上進出に必須であった細胞間コミュニケーションの端緒を明らかにすることを目的としている。そのため、2種のホシミドロ目藻類(ヒメミカヅキモ、アオミドロ)を用いて、細胞分化、細胞増殖に関わるリガンド・RLKペアの特定を行うことを通して、陸上植物へと進化する上で重要な役割を示した細胞間コミュニケーションの実体に迫る。
糸状性のアオミドロについては、フィールドから新たに単離した株の中から、顕微測光分析により、比較的ゲノムサイズが小さい(0.5~1.5 Gbp)と思われたSpirogyra parvulaについて、生活環制御を可能にするべく、条件検討を行い、接合誘導を可能とした。また、この株からゲノムDNAを抽出し、DNBSEQ-G400によるショートリードデータを得たが、アセンブルした結果、ゲノムサイズが約50 Mb程度であると推定された。これは顕微測光の計測データと大きく乖離していた。アオミドロの栄養生殖期の細胞では染色体が核内倍加した状態でまとまっている、または同質倍数体ゲノムを持つことなどを示唆するものとなった。さらに、網羅的な遺伝子情報を得るため、栄養生殖期と接合誘導期から、それぞれ全RNAを抽出して、4000万リードずつのRNA-seq情報を得て、アセンブルされたゲノムにマップして、遺伝子予測を行ったところ、15042遺伝子座が見出された。ゲノムブラウザーで確認すると、非常に密な状態で遺伝子が並んでおり、推定ゲノムサイズが小さいことと合致した結果となった。特定された遺伝子の中には、多くのRLK遺伝子が見出されたが、まだ精査は出来ていない。
ヒメミカヅキモについては、すでにゲノム解読は済んでおり、プラス型細胞から420種、マイナス型細胞から372種のRLK遺伝子の存在を確認した。実際に細胞培養液から、小分子ペプチドの同定を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2種のホシミドロ目藻類のゲノム情報から、RLK遺伝子の特定が可能となり、概ね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

アオミドロについては、ゲノム中に存在するRLK遺伝子の特定を行うとともに、単細胞のヒメミカヅキモにおいて機能喪失もしくは欠落している遺伝子を特定する。また、仮根形成に関わるRLK遺伝子の同定を目指す。ヒメミカヅキモにおいては、細胞増殖因子の同定を目指す。

次年度使用額が生じた理由

コロナによる研究制限、物資不足などが重なり、残額が生じた。アオミドロゲノムについては、非常に密に遺伝子が並んでおり、遺伝子の開始部位と末端部位を同定しにくい。また、一般にRLK遺伝子は非常に長い傾向があるため、正しい全長cDNA情報を得るため、Iso-seqを行うなどを計画している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Anthoceros genomes illuminate the origin of land plants and the unique biology of hornworts2020

    • 著者名/発表者名
      Li FW, Nishiyama T, et al.
    • 雑誌名

      Nat. Plants

      巻: 6 ページ: 259-272

    • DOI

      10.1038/s41477-020-0618-2

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] ヒメミカヅキモにおける蛍光標識CenH3タンパク質の発現による染色体可視化2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺実咲, 村田隆, 堤元佐, 大友康平, 根本知己, 西山智明, 土金勇樹, 関本弘之
    • 学会等名
      日本藻類学会第45回大会
  • [学会発表] 全ゲノムデータからみたヒメミカヅキモの自殖系統におけるホメオログ間組み換え2020

    • 著者名/発表者名
      川口也和子,土金勇樹,田中啓介,太治輝昭,豊田敦,西山智明,関本弘之,土松隆志
    • 学会等名
      日本植物学会第84回大会
  • [学会発表] ヒメミカヅキモのPR-IPは、性フェロモンであるが有性生殖に必須ではない2020

    • 著者名/発表者名
      山口里帆子、福島早貴、今詩織、神田奈保、関本弘之
    • 学会等名
      日本植物学会第84回大会
  • [学会発表] The mechanism of mating type determination in heterothallic strains of Closterium peracerosum-strigosum-littorale complex, a new model organism to study sexual reproduction in streptophytes2020

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Sekimoto, Natsumi Tsuyuki, Ayumi Komiya, Tomoaki Nishiyama
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [備考] 日本女子大学理学部物質生物科学科・関本研究室

    • URL

      https://mcm-www.jwu.ac.jp/~sekimoto/

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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