脳の毛細血管血流は自動調節の機構により安定的なレベルに維持されると考えられているが、我々の研究から、レム睡眠中は他の睡眠覚醒状態とは大きく異なることが判明した。神経細胞の平均発火頻度は覚醒時とレム睡眠とで同程度であることから、neurovascular couplingとは異なる何らかの機構が働くと考えられる。レム睡眠の異常は様々な精神・神経疾患で見られる。本研究成果は、レム睡眠の異常がこうした疾患の悪化に寄与する可能性をも示唆する。従って、異常なレム睡眠を補正する治療は睡眠障害のみならず、精神神経疾患の予防治療の観点からも重要であると考えられ、そうした視点をもたらした点において有意義である。
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