研究課題
ミクログリアは、中枢神経系に存在するマクロファージに類似する貪食作用を有する免疫細胞であり、シナプスの貪食などを通じて、神経回路の形成や脳機能の調節に関与している。本研究では、ラットの異性間コミュニケーションのあり方を行動学的に検討し、オスに好かれるメス、好かれないメスを検出し、その行動特性を新たに創出した異性間コミュニケーションを定量的に評価するパートナープリファレンステストにより明らかにした。オスに好まれるメスは、全般的な行動量が少なく不安感が強く、しかし同性に対する社会性は高いというものであった。また、オスに好まれるメスの前頭葉ミクログリアは、好まれないメスに比べ全般に活性が高く、シナプスをより多く貪食していた。脳内移行性のアドレナリンβ2アゴニストであるクレンブテロール投与により、ミクログリアは活性化しより多くのシナプスを貪食するようになったが、そのメスは対照群のメスよりオスに好まれるようになった。逆に、脳移行性βアンタゴニストのプロプラノロール投与によりミクログリアの活性は低下しシナプス貪食は減少した。すると、そのメスはオスに選択されなくなった。これらの結果は、異性間コミュニケーションという高度な社会行動に対してミクログリアが関与していることを示している。また、オスは明暗箱試験において暗室に長時間滞在するおとなしいメスを好むものと考えらたが、これは、子育てを安全に行う上で有利な行動であり、子孫を残す上で有利な行動をとるメスをオスが好むのではないかと考えられた。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 7件)
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