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2020 年度 実施状況報告書

神経回路形成因子LOTUSによる認知症の予防改善治療基盤の創成

研究課題

研究課題/領域番号 20K21466
研究機関横浜市立大学

研究代表者

竹居 光太郎  横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (40202163)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワードLOTUS / アミロイドβタンパク質 / Nogo受容体 / PirB / シナプス形成 / アルツハイマー病 / 認知症 / 治療法開発
研究実績の概要

(1)株細胞におけるAβ結合に対するLOTUSの拮抗作用の検討: NgR1およびPirBのAβに対するLOTUSの拮抗作用について検討した。市販のAβ42リコンビナント蛋白質によってAβオリゴマーを得て、COS7細胞株において発現させたLOTUSとPirBの結合がAβオリゴマーとPirBとの結合を阻害するかについて解析したところ、LOTUSの発現によってAβとPirBの結合が約30-40%減弱した。LOTUSはPirBとAβの結合を抑制することが判明した。
(2) 培養神経細胞におけるLOTUSの拮抗作用の検討:NgR1とPirBが高発現する初代培養海馬神経細胞において、Aβにより誘起されるシナプス形成・維持の減少に対するLOTUSの拮抗作用を検討した。胎生期17.5日目のマウス海馬初代培養細胞を作製し、Banker法による培養下でシナプス形成を観察する実験系に電気穿孔法を用いてlotus遺伝子およびgfp遺伝子を導入してLOTUSとGFPを強制発現させた。Aβオリゴマーを培養後3時間目の時点で培養液に添加してその後さらに約19-20時間培養し、GFPの蛍光観察によってシナプス後膜側スパインを観察した。Aβ単独投与ではスパインが顕著に減少していたが、LOTUSを強制発現した時にスパイン数の減少はコントロールレベルまでレスキューされていた。ことのことから、LOTUSはAβ作用によるシナプス形成・維持の阻害を抑制することが判明した。このLOTUSの作用はNgR1に対する拮抗作用なのか、PirBに対する拮抗作用なのか、それら双方に対する作用なのかについては、NgR1遺伝子欠損マウスの培養神経細胞を用いたり、RNAiでPirBをノックダウンさせたりして検証する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画全体の約50%が終了した。株化細胞と培養神経細胞におけるAβ結合とAβ作用に対するLOTUSの機能解析はほぼ終えることができた。 LOTUS発現減少の分子機序の検討については、培養海馬神経細胞を用いて多種多様の炎症性サイトカインを網羅的に添加してLOTUS発現変動を解析している。また、アルツハイマー病モデル動物は既に入手し、コロニーの繁殖と維持、および老齢化を行っており、残りの研究計画を遂行する準備はほぼ整った。

今後の研究の推進方策

LOTUSは、PirBに対するAβ結合とAβによるシナプス減少作用に対する拮抗作用を有することが判明した。今後は、LOTUSの発現変動を来たす物質の同定を試み、同定された物質に対する薬剤候補を検討し、その薬剤を用いることでLOTUSの発現現象を阻止したり、LOTUSの発現を上昇させたりすることを試みる。また一方、アルツハイマー病モデル動物の個体数を十分に確保し、LOTUS過剰発現トランスジェニックマウスとの交配によって、病態モデル動物が示すシナプス減少や記憶障害が改善するかどうかを形態学的、行動学的に解析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍による研究活動の自粛要請に基づいて研究活動を一時的に停止した期間があり、予定していた支出が抑制されたため物品費が予定より少額になったり、技術補佐員の雇用期間を縮小したりした。また予定していた学会がWeb開催に変更になり、旅費が不要となった。これらのために翌年度分として繰越を行う。
2021年度においては、繰越金を含めて2年全体の当初の予定額配分になるような支出を計画している。即ち、物品費を増額したり、技術補佐員の雇用期間を延長したり、また9月末に予定されている学会が対面で行われる予定のため旅費を支出したりする予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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