研究課題
アルツハイマー病との関連が示唆されているアミロイドβタンパク質と、その受容体として機能する事が示されているプリオンタンパク質との相互作用を、4重鎖構造を形成する核酸アプタマーによって阻害する実験を行った。核酸アプタマーをプリオンタンパク質と先に混合すると、その後からアミロイドβタンパク質を加えても、アミロイドβタンパク質はプリオンタンパク質と相互作用できない事が示された。さらに、アミロイドβタンパク質がプリオンタンパク質と相互作用した状態であっても、ここに核酸アプタマーを加えると、アミロイドβタンパク質とプリオンタンパク質との相互作用が阻害される事を示唆する結果も得られた。実験の回数を増やす事で、この実験結果の再現性を統計的に確認する事を進行させた。これまでのところ、実験結果の再現性に関して良好な結果を得ている。上記の核酸アプタマーは4重鎖構造を形成するが、4重鎖構造を形成する核酸分子一般の構造―機能相関を解析する為に、複製に関与するタンパク質ORC1と4重鎖構造を形成する核酸分子との相互作用の解析も行った。ORC1は、2重鎖構造を形成する核酸分子よりも、4重鎖構造を形成する核酸分子により強く結合する事が、蛍光異方性を用いた実験によって示された。4重鎖構造のどの部位が、ORC1との特異的な相互作用に関与しているのかも、NMRのケミカルシフトパータベーション法により決定された。これをプリオンタンパク質と4重鎖構造を形成する核酸アプタマーとの相互作用様式と比較したところ、4重鎖を形成する核酸分子とタンパク質との相互作用様式には、共通項がある事が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
アミロイドβとプリオンタンパク質の相互作用を、4重鎖構造を有するRNAアプタマーによって阻害する事が可能である事を示す結果を蓄積した。阻害効果に関する結論を強固なものにする為に、実験を繰り返して再現性を慎重に評価した。
実験を繰り返して阻害効果に関する再現性を慎重に評価する事で、結論を強固なものにする。
相互作用に関する実験を繰り返して行い、結果の信頼性を高める必要があったが、コロナ禍の影響もあり、繰り返しの回数を十分に増やせなかった為に当該助成金が生じた。次年度はこれを用いて、残りの実験を行う事としている。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 22 ページ: 3481~3481
10.3390/ijms22073481
http://www.iae.kyoto-u.ac.jp/bio/