苦味受容体の発現をヒト皮膚細胞やがん細胞で認めた。この受容体は小胞体 に局在し、G12/13型と共役することを確認した。細胞内に苦味物質、あるいは抗がん剤が侵入した場合、この受容体で感知され、ABC-B1の活性化による排出機構の亢進で有害物を細胞外へ排除すると推察する。ちなみ に、皮膚細胞やがん細胞を苦味物質で刺激するとABC-B1の発現は上昇する。抗がん剤耐性との関連 を調べるため、苦味物質存在下で1カ月以上培養した乳がん細胞株MCF-7細胞を調整し、この細胞の抗がん剤耐性能を苦味物質に晒していない親株と比較した結果、長期曝露MCF-7細胞は親株と比較して有意な抗がん剤耐性を示した。
|