研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究において、ショウジョウバエ上皮に誘導したがん原性細胞集団の腫瘍形成を促す変異体スクリーニングを実施し概日時計因子を同定した。概日時計因子によるがん制御メカニズムを解析したところ、概日時計因子の突然変異によりAkt(細胞の増殖・生存に関わるプロテインキナーゼ)の活性化が亢進し、がん原性細胞集団が過剰に増殖し腫瘍を形成することが分かった。これらの結果は、個々の組織がもつ概日時計の異常ががんの初期発生を誘発する原因になる可能性を示唆している。
細胞生物学、腫瘍生物学
本研究はショウジョウバエをモデルとして、概日時計を制御する遺伝子の異常ががんの発生を誘発する可能性を生体レベルで示したものである。このことは、生体内の個々の組織がもつ適切な概日時計リズムががん化の抑制に重要であることを示唆している。将来的に本現象を哺乳類において解析しその普遍性を明らかにすることで、体内時計の調節を基盤とした新たながん制御やがん治療法の確立が期待される。