本研究では、ゼブラフィッシュをモデルに疾患と不良細胞除去機構の関係の解明を目指した。まず、ゼブラフィッシュ稚魚上皮に出現した前がん細胞が隣接細胞に感知されて細胞老化を誘導されて増殖活性を抑制され、体外に物理的に押し出されることを発見した。また、p53変異を持つ上皮やDNAダメージが蓄積した上皮では、前がん細胞は排除されずに生存し、隣接正常細胞に増殖あるいは二次的な細胞老化を誘導して初期の腫瘍を誘導することを発見した。このように、発生期に生じた不良細胞を隣接細胞が感知・排除する新たなメカニズムを明らかにし、さらに、追加変異や環境因子がこの排除機構を抑制し、疾患発症を駆動することを明らかにした。
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