異種造血系を有するマウスの作製 昨年までのRunx1欠損GATA-1レスキューマウスでは、造血系以外の異常もあり、増血系を100%ラットで置換することができても、長期生存させることができなかった。そこで、Runx1を造血系だけで欠損するTie-2-Cre;Runx1cKOを用いて、造血系をラットで置換したマウスの作製を行った。その結果、ラットの造血系のみを有するマウスを長期生存させることに成功した。このことは、Tie-2-Cre;Runx1cKOを用いることにより、異種動物の造血系を有するマウスを作製できることを実証できたと考えられる。また、ヒトの造血幹細胞を用いて、ヒト造血系を有するマウスの作製を試みた。その結果、野生型マウスに移植した場合でも、成体においてもヒト造血細胞が維持されていることを明らかにした。Tie-2-Cre;Runx1cKOにヒト造血幹細胞を移植した場合は、生存マウスを得ることができなかった。ヒト造血細胞の増殖が十分ではなく、生存を維持できるだけの血液細胞が得られないためと考えられる。 異種膵臓を有するマウスの作製 膵臓を欠損するPdx1欠損マウスを用いてヒト膵臓を有するマウスの作製を試みた。その結果、出生直後に死亡するPdx1欠損マウスが生後10日目まで生存できること、そのマウスでは、ヒトインスリンのmRNAが検出できることを明らかにした。この結果より、少なくともヒトβ細胞がマウス体内で維持されていると考えられる。また、ヒト細胞を移植したマウスには、ヒト細胞に対する免疫寛容が誘導されていること、混合リンパ球培養法により明らかにした。
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