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2021 年度 実施状況報告書

制御性T細胞から分泌される新規免疫抑制因子の同定と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K21514
研究機関東京大学

研究代表者

高場 啓之  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (50637444)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード組織恒常性 / 獲得免疫 / 自己免疫疾患 / 制御性T細胞
研究実績の概要

脊椎動物は獲得免疫を持つことで、未知の病原体の侵入に対しても応答して身を守ることができる。獲得免疫システムはT細胞が自己の成分には応答しないようになっており、T細胞の自己不応答を自己免疫寛容と呼び、自己応答性T細胞が生体内で除去されたり、制御性T細胞へ分化されたりすることで成立している。制御性T細胞はマスター転写因子Foxp3を発現し、自己成分を積極的に認識することで、末梢組織の恒常性維持や獲得免疫システムの応答抑制に関わる。しかし、制御性T細胞はどのようなエフェクター分子を発現し、機能を担保されているか未だ分子機構に不明な点が多い。ここで申請者はマウス制御性T細胞を活性化させた際に分泌される液性因子に着目し、その因子が免疫抑制や組織恒常性の維持に関わるかどうか検討することを試みた。リンパ組織より回収した制御性T細胞とナイーブCD4T細胞をin vitroにてTCR刺激を行い、培養上清を質量分析装置で網羅的に解析した。その結果、エフェクターCD4T細胞に発現せず、制御性T細胞にのみで発現する液性因子を複数同定した。そのうち、機能未知である液性因子MSYに注目した。MSYを人工的に作成し脾臓細胞へ投与したしたところ、単球系列の細胞が活性化していることを見出した。以上の結果は、制御性T細胞からTCR依存的に産生されるMSYが単球をターゲットとして機能していることを示唆している。今後、コンディショナルノックアウトマウスを作成することでMSYの機能の詳細な解析や、単球系列細胞に発現すると考えられる受容体の同定を試みる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

制御性T細胞から分泌される液性因子を網羅的に同定できた。興味深いことに、これらの液性因子は、これまで研究されておらず、また他のエフェクターT細胞で産生されていないため、制御性T細胞のみで選択的に産生されている可能性が高い。これらの液性因子に着目し機能解析を行うことにより、制御性T細胞の免疫抑制や組織恒常性に関わる分子メカニズムを明らかにすることが可能となる。一方で、MSYの受容体は単球細胞に発現していることが想定されるため、単球に発現するcDNAライブラリーからin vitroによるスクリーニングアッセイを行うことで同定を試みる。さらに、単球とMSYを結合させて共役免疫沈降ー質量分析解析を行うことで、直接的な受容体の同定も試みる。

今後の研究の推進方策

申請者は液性因子の中で1つの分子MSYに着目し、機能解析を行った結果、単球系列をターゲットとする新たな獲得免疫機構を見出した。今後MSYの産生機序や受容体を探索することで獲得免疫システムの基本原理を明らかにすることが可能である。具体的には、MSYの欠損マウスや制御性T細胞のみでMSYを欠損させたコンディショナルノックアウトマウスを、CRISPR/Cas9法で樹立することにより、マウス個体を用いてMSYの機能解析を行う。また、MSY受容体が同定された場合は、MSY受容体の発現を抗体や定量RT-PCR法などを用いて確認する。さらに、MSY受容体の欠損マウスを樹立することで、MSY受容体の機能解析も行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Promiscuous Gene Regulators for Central Immune Tolerance2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Takaba, Yoshihiko Tomofuji, Hiroshi Takayanagi
    • 学会等名
      The 50th Annual Meeting of the Japanese Society for Immunology

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公開日: 2022-12-28  

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