研究課題/領域番号 |
20K21516
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
後藤 康之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50553434)
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研究分担者 |
中尾 洋一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60282696)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | リーシュマニア / 生物資源 / 免疫制御 |
研究実績の概要 |
本研究は宿主免疫因子であるBAFF、SIRPa、IL-10の発現を制御するリーシュマニア原虫の因子を同定することを目的とする。スクリーニング法の確立、原虫抽出物の分画、活性物質の同定、という流れで研究を行う。 BAFFについては既に蛍光基質を用いた活性評価試験を確立しており、2020年度は活性物質の同定を目指した。スクリーニングの結果から3つの候補分子を同定するに至り、それらの組換え体を作製して特異抗体の作出を行った。2021年度に抗体を用いた活性阻害試験を行い、標的因子の性状解析を行う予定である。 SIRPaとIL-10については生化学的な評価法を確立できないので、細胞を用いたバイオアッセイの確立を試みた。前者については、細胞膜上に発現するSIRPaの切断を効率よく検出するため、マクロファージの蛍光免疫染色をマイクロウェルプレートで行い定量化する方法の確立を行った。プレートの自動スキャン、自動定量の条件を検討中で、2021年度初頭には完了する見込みである。また、IL-10については、同じくマクロファージを用いて、IL-10プロモーター支配のルシフェラーゼ発現株を作出している。本件についても2021年度初頭には完了する見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19のため、研究室での研究活動に制限があり、当初予定よりも進捗が遅れている。しかしながら、2021年度に行う予定である活性物質の同定・評価に向けたアッセイの確立は比較的順調に進んでいると。そのため、20201年度の研究を進めるための準備はしっかりと進んでいると言える。同時に、BAFFについては幸運にもすでに候補因子がいくつか取れている。よって、「おおむね順調」と「やや遅れている」の中間程度であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、活性物質のスクリーニング法については全ての標的に対してほぼ確立されてきている。2020年度中に原虫の大量培養法についても確立でき、研究に用いる材料の調整法については問題がない。そのため、2021年度はハイスループットアッセイを効率よく回すことにより、活性物質の同定が問題なく進むと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り、2020年度はCOVID-19のため当初予定していたよりも研究の進捗が遅かった。しかしながら、アッセイの確立が順調に進んでいるため、2021年度には遅れを取り戻し、当初予定していた通りの成果を上げることが期待できる。そのため、研究助成期間全体の助成金使用計画については変更がなく、2020年度未使用分は2021年度に引き続き必要となる。
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