研究課題/領域番号 |
20K21527
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
小椋 義俊 久留米大学, 医学部, 教授 (40363585)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 大腸菌 / ゲノム / 下痢症 / 病原因子 / 集団感染 |
研究実績の概要 |
今年度は、大阪健康安全基盤研究所の協力を得て、大阪府で2003年から2012年までに発生した病原因子不明大腸菌が原因と疑われる集団下痢症10件から菌株を収集した。これらの事例では、大腸菌以外には下痢の原因となる微生物は検出されていないが、分離された大腸菌からもPCRによる病原性マーカー遺伝子が不検出となっており、原因不明下痢症として扱われている。各事例では、異なる患者や同一患者でも血清型や生化学的性状が異なる菌株が分離されており、合計で149株が保存されている。これらすべての菌株について分与を受け、ゲノムDNAの抽出を行った。代表者の研究室が移動になったため、ゲノムシーケンスのためのライブラリー調整に必要な実験器具などの整備と研究補助員の実験指導を完了し、現在ライブラリー調整を進めているところである。また、福岡県、大分県、宮崎県の衛生研究所とも電話やメールでの意見交換を行っており、菌株の分与を受ける手続きを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により、地方衛生研究所はコロナの検査などで多忙を極めており、研究活動に大きな支障をきたしている。本研究の共同研究先の福岡県衛生研究所、大分県衛生研究所、宮崎県衛生研究所でもコロナ業務に追われて、本研究に必要な菌株分与の準備が滞っている。また、研究代表者の小椋が九州大学から久留米大学へ異動したことで、次世代シーケンサーによるシーケンスやデータ解析などの研究体制を一から構築する必要があり、実験環境の整備や研究補助員の実験指導などに多くの時間を割かれた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、福岡県、大分県、宮崎県の衛生研究所において、コロナ関連の業務の合間をみて、菌株分与の手続きと作業を進めてもらう予定である。菌株が分与され次第、ゲノムシーケンスとデータ解析を行い、新規病原因子候補を同定する。さらに破壊株作成と感染実験によりその病原性評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大により、衛生研究所からの菌株分与に遅れが生じた。また、研究代表者の異動により次世代シーケンサーによりシーケンスの実施に遅れが生じており、その大部分を次年度に実施する予定となったため。
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