研究課題
エクソソーム等の細胞外微粒子(EV)は、内包物であるタンパク質や小分子RNAをがん細胞から周辺あるいは遠隔の細胞へと輸送することにより、がんの増殖や転移に有利な組織微小環境をもたらすと従来考えられてきた。ヒト化マウスのEBVリンパ腫組織において、分泌性ホスホリパーゼA2 (sPLA2) の一種であるsPLA2-XがM2様マクロファージに発現誘導されることを見出した。リンパ腫由来EVは親細胞と比較してリン脂質中のω3/ω6脂肪酸比が高く、またω3/ω6脂肪酸に由来する多くの脂質メディエーターを含んでいた。in vitroにおいて、sPLA2-XはEVのリン脂質を加水分解して脂肪酸やリゾリン脂質を遊離し、RvD2(DHA代謝物)やLPA(リゾリン脂質代謝物)などの脂質メディエーターの産生を亢進した。sPLA2-X処理EVは小型化・凝集・融合し、標的マクロファージに取り込まれやすく、脂質受容体シグナルを増強し、IL-10の発現を促進した。それと共に、リゾリン脂質、主にLPAを介して、細胞に直接的に接着することによって、GPCRを活性化することを見出した。この効果は既存のEV生物学における標的細胞に取り込まれて機能するという概念を覆すもので、EVの生物学的効果、作用機序の多彩さを明らかにし、大きなインパクトを与え、Cell Metabolismに発表され、冒頭に紹介がついた。
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Cell death & disease
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