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2022 年度 実績報告書

グラフ理論と自然言語処理技術を用いた統合失調症の脳内単語ネットワーク解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K21567
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

高橋 英彦  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (60415429)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワードグラフ理論 / 自然言語処理技術 / 統合失調症
研究実績の概要

【目的】統合失調症は妄想などの思考障害を呈する精神疾患であり、なかでも発話内容のまとまりのなさは「連合弛緩」と呼ばれ、重要視されてきた。連合弛緩は意味関係の異常であることがこれまで心理実験により示唆されてきたが、その神経病理は不明であった。本研究では統合失調症における意味関係の異常を脳活動に基づき検討するために、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて脳内意味表象を定量化し、そのネットワーク構造を評価した。
【方法】統合失調症患者と健常者を対象として、自然動画提示下fMRIを撮像した。動画情報と脳活動データに自然言語処理アルゴリズムWord2vecとエンコーディング・モデリングを適用し、脳におけるさまざまな意味表象を脳活動パターンとして定量化した。続いて、意味表象間の類似度に基づき構築した脳内意味ネットワークの構造特性を評価した。
【結果】健常者の脳内意味ネットワークは自然言語と同様に高いスモールワールドネスを示したことから、スモールワールドは意味知識に関するネットワークの普遍的性質であることが示唆された。一方、統合失調症の脳内意味ネットワークではスモールワールドネスは減少し、妄想の重症度と負相関していた。また、患者の脳内意味ネットワークは健常者よりも明瞭にカテゴリに区分されていたが、カテゴリ内のネットワーク構造はランダム化していた。本研究により統合失調症の連合弛緩は、脳内において意味ネットワークのランダム化として表れていることが明らかになった。また、本研究の手法は精神疾患患者の主観的体験を患者の発話に依ることなく脳活動から直接評価できる点で、診断、治療の新たな可能性をひらくものと期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [国際共同研究] University College London(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University College London
  • [雑誌論文] Disorganization of Semantic Brain Networks in Schizophrenia Revealed by fMRI2022

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto Yukiko、Nishida Satoshi、Hayashi Ryusuke、Son Shuraku、Murakami Akio、Yoshikawa Naganobu、Ito Hiroyoshi、Oishi Naoya、Masuda Naoki、Murai Toshiya、Friston Karl、Nishimoto Shinji、Takahashi Hidehiko
    • 雑誌名

      Schizophrenia Bulletin

      巻: 49 ページ: 498~506

    • DOI

      10.1093/schbul/sbac157

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 脳画像と人工知能技術を統合失調症研究に活かす2022

    • 著者名/発表者名
      高橋英彦
    • 学会等名
      第48回神経内分泌学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 統合失調症の中核症状を可視化する2022

    • 著者名/発表者名
      高橋英彦
    • 学会等名
      第12回社会神経科学研究会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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