研究課題
心臓が心筋梗塞により傷害を受けると炎症が惹起され、骨髄由来の細胞が心筋組織に浸潤して、炎症はピークに達するが、炎症の終息とともに組織は修復する。これまで、梗塞後の心臓に浸潤する骨髄由来の細胞として、好中球および単球/マクロファージが重要な役割を演じると考えられてきたが、これら骨髄由来細胞は、多様な細胞集団の集合と考えられるようになってきつつある。申請者は、梗塞後の心臓に浸潤する骨髄由来の細胞を調製し、1細胞RNA seq解析を行うことにより、好中球にも単球/マクロファージにも属さない新規の細胞集団(以下、細胞集団Xと記載)を見出した。そこで、細胞集団Xの性質を明らかにするために、上記の1細胞RNA seqの結果から同定した細胞集団Xに特異的な細胞表面抗原を指標に細胞集団Xを調整し、RNA seq解析により細胞集団Xの遺伝子発現プロフィールを作製した。その結果、細胞集団Xは、好中球とも単球/マクロファージ異なる新規細胞集団であることが確認された。次に、細胞集団Xを特異的に除去する実験系の確立をすすめた。具体的には、骨髄由来細胞特異的遺伝子プロモーターとloxPシステムを組合せジフテリアトキシン受容体を誘導できるマウス(iDTRマウス)を作製した。このマウスと骨髄由来細胞特異的にCreリコンビナーゼを発現するマウスを交配し、ダブルトランスジェニックマウスを作製、ジフテリアトキシンを投与することにより、骨髄由来細胞が顕著に除去できたことから、iDTRマウスが正しく機能することが確認できた。そこで、細胞集団Xに特異的に発現する遺伝子の下流でCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウスとiDTRマウスを用いて細胞集団Xを除去する系を作製している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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