研究課題
放射線治療は強い細胞傷害性をもつ有用な局所治療法であるが、治療経過に伴い腫瘍細胞 がPD-L1等の腫瘍抗原を発現が増強する事が報告され ている。この腫瘍抗原の増加によって、宿主の免疫細胞群による免疫システムが作動し、CD8細胞の膜表面上のPD-1と腫瘍細胞のPD-L1が免疫チェックポイントを形成し、更なる治療抵抗性の原因となる。これまで細胞傷害性のCD8細胞をがん治療に応用する試みは数々提案されてきたが、CD8細胞はその増幅が困難であり、固形癌ではその有用性は確認されていない。過酸化チタンナノ粒子を表面修飾で電荷的に中性にし、pH反応性カプセル内に包含させ、その後タンニン酸を用いたMetal-Phenol Network(MPN法)で生体親和性を持たせ、エクソソームへの取り込みを可能にする。腫瘍細胞への特異的集積性の検討に関して、がん幹細胞に高発現しているCD44を認識する抗体と過酸化チタンナノ粒子を結合させることに成功し、CD44陽性細胞とCD44陰性細胞を用いたin vitroの実験系において腫瘍集積性の評価を行った。蛍光顕微鏡によるCD44陽性細胞またはCD44陰性細胞へのナノ粒子の取り込みを評価し、CD44陽性細胞内への有意な過酸化チタンナノ粒子の取り込み量の増加を認めた。腫瘍増殖抑制効果の検討に関して、タンニン酸を用いて無機分子・有機分子の結合体の作成の実験を進め、その合成に成功した。それらを用いて放射線照射の併用効果をコロニーアッセイにて評価した。CD44陽性細胞においては、過酸化チタンナノ粒子と放射線を併用することにより放射線単独または過酸化チタンナノ粒子単独よりも有意な腫瘍増殖抑制効果を認めた。これらの検討により、CD44を高頻度に発現するがん細胞へ高効率な過酸化チタンナノ粒子の輸送に成功した。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
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