研究課題
私たちが世界で初めてRitscher-Schinzel症候群(RSS)様症候群の新規原因遺伝子として同定したVPS35Lについて、臨床的およびモデルマウスを用いた研究を実施した。臨床面では、当初報告した同胞例2例に加えて、日本人例1例を同定し、さらに、Genematcherにより国際的データシェアを行い、フランス人1例およびオランダ人1例を同定した。計5例を集積したことにより、VPS35L関連RSSの疾患概念を確立した。これらの成果は現在国際共同研究として投稿に至った。モデルマウスの解析については、VPS35Lノックアウトマウスは胎生致死であるために、複数のコンディショナルノックアウト(cKO)マウスの作成を行なった。骨筋肉の症状の解析のために、中胚葉系のcKOとして、Prx1-VPS35L cKOマウスを作成し、詳細に検討を行った。Prx1-VPS35L cKOマウスはヒト患者の症状が骨の変化が強かったにもかかわらず、筋力低下を中心としる筋症状が中心であった。その病態を明らかにするために、病理学的解析を行い、線維性脂肪細胞(FAP)の機能障害が関わっている所見を得た。現在、Prx1-VPS35L cKOマウスからFAPを単離してRNAseq解析を行っている。神経特異的ノックアウトマウスとしてNestin-VPS35L cKOマウスを作成した。Nestin-VPS35L cKOマウスは小頭症を示し、病態を再現することに成功した。Nestin-VPS35L cKOマウスは水頭症を高率に合併した。Nestin-VPS35L cKOマウスでは神経遊走が遅延し、VPS35Lの神経幹細胞における役割が示唆された。これらの実験により、様々な臓器発生におけるVPS35Lの役割を解析する基盤の作成ができた。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Brain and Development
巻: 44 ページ: 249~253
10.1016/j.braindev.2021.11.007
Development
巻: 148 ページ: dev188755
10.1242/dev.188755
Pediatrics International
巻: 63 ページ: 1534~1536
10.1111/ped.14644
European Journal of Medical Genetics
巻: 64 ページ: 104251~104251
10.1016/j.ejmg.2021.104251
巻: 43 ページ: 590~595
10.1016/j.braindev.2020.12.008