本年度はβ-galactosidase活性の検出系を確立するため、適切な基質の選択とアッセイ法の比較検討を実施した。前年度に導入したヒトβ-galactosidaseを発現するβ-galactosidaseノックアウトマウス線維芽細胞株を用いて細胞ライセートを作製し、各種β-galactosidase基質を用いた呈色反応・蛍光強度測定により活性測定が可能か検証した。呈色反応により活性測定が可能なONPGでは細胞ライセート自体に吸光度があるため、本細胞を用いた活性測定系には不適であった。一方、β-galactosidaseにより分解されて蛍光を生じる色素Aについては細胞ライセート単独での蛍光強度は低く、色素添加により蛍光強度の増加がみられ、測定に適していると考えられた。添加するライセート量・インキュベーション時間の最適化を実施し、測定系内の蛋白質最終濃度20μg/ml、60分間の反応が至適と判断した。本検出系を用いて既知のβ-galactose誘導体・β-galactosidase阻害剤による活性阻害が可能か検証し、各薬剤の50%阻害濃度・親和性定数の算出が可能であった。以上の知見をふまえ、今後の阻害剤デザイン戦略として上記薬剤の側鎖変更・β-galactosidase活性の阻害に関わるβ-galactoseとの結合構造の変更が有望と思われた。また、本検出系は蛍光検出によるhigh-throughputアッセイも可能であるため、新たな構造に基づく新規阻害剤の探索へも応用することとした。新規薬剤探索プラットフォームとして創薬等先端技術支援基盤プラットフォームとの連携を開始し、候補薬剤の提供・阻害能の評価を開始予定である。
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