研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは3年間で、学術論文2報、総説1報、投稿中2報の実績を得た。2022年度においては、研究計画(2)(3)の研究を詳細に進行し、加えて萌芽的な研究結果も得ることができており(下記C参照)、継続した研究へと発展する可能性が期待される。以下の3点について結果を報告する。 A:非コードRNAとTbx5との遺伝学的相互作用の理解:wt、5563 KO、Tbx5 KO、およびGm5568;Tbx5 DKO胚の心臓領域mRNAseqを行い遺伝子発現プロファイルの作成およびトランスクリプトーム解析を試みた。心室筋肉柱増殖・形成に関与する遺伝子群の発現が顕著に抑制されており、組織学解析から心室筋肉柱異常が見受けられていることと合致する。ChIPseq結果からも直接的な制御機構を明らかにでき、細胞増殖因子の発現調節制御を担っていることを明らかにした(現在投稿中:Katano et al., submitted 2023)。 B: 非コードRNAと共役する因子の同定: RIP-qPCR法を用いることによって、Gm5563がTbx5特異的に共役している萌芽的結果を得た。 C: Tbx5-Gm5563の発現制御を担う上流因子GPC5の理解:GPC5は肉腫早期マーカーとして知られている(Takeuchi et al., PLOS ONE 2015;Takeuchi et al., PLOS ONE 2021)。さらに、本研究によって、WNT-GPC5シグナルがTbx5遺伝子座にエピジェネティック変異を生じさせ、Tbx5-Gm5563が肉腫化に寄与していることを報告した(論文作成中)。
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