本研究では、皮膚のかたさが表皮幹細胞の形質におよぼす影響と皮膚老化との関連の解明を目的とした。マウス足底部皮膚をモデルとして、皮膚のかたさを測定した結果、加齢に伴い真皮が硬くなることが分った。またメカノセンサーPiezo1がかたさに依存して活性化し、長期カルシウムパルスが発生することにより、表皮幹細胞の分化とヘミデスモソームの減弱化が誘導されることが明らかとなった。加齢に伴う真皮の硬化は体表血管の退縮が原因であり、体表血管を増強したマウスでは、真皮の硬化や表皮幹細胞の老化形質が抑制された。また、加齢皮膚では真皮線維芽細胞から炎症性タンパク質Ptx3が分泌され、血管退縮が誘導されることが分った。
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