本研究の目的は、腸内細菌の外膜小胞(Outer membrane vesicles; OMVs)を介する生体作用を解明して、疾患治療への応用の可能性を検証することである。OMVsは、細菌が分泌する20~250nm程度の大きさの脂質二重膜構造を持つ球状の小胞で、リポ多糖LPSを含む種々の菌体成分や各細菌のタンパクや核酸が含まれる。 腸内細菌から産生されるOMVsの単離に成功した。OMVsにはLPSが含まれており、菌固有のLPS活性の差を反映する結果が得られ、菌に特徴のあるOMVsが産生されることが確認できた。腸管から生体内・血中への移行を調査したが、移行する可能性は低いという結果となった。
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