今年度も本研究計画における動物実験系での検討を主体に進めた。内容としては、1)高血圧・腎臓病モデル動物におけるATRAP発現調節の解析、2)皮膚組織局所でのATRAP発現調節による心血管腎臓病制御の検討、に関する解析を遂行した。1)高血圧・腎臓病モデル動物におけるATRAP発現調節の解析では、自然発症高血圧ラット(SHR)、5/6腎臓摘出・腎障害薬剤負荷による慢性腎臓病モデルラットにおける皮膚・皮下組織局所ATRAP発現(mRNA・蛋白)と血圧(テレメトリ法による直接測定)・腎機能(クレアチニン クリアランス法による測定)との関連性の検討を進めている。また、2)皮膚・皮下組織局所でのATRAP発現調節による心血管腎臓病制御の検討では、作製済のATRAP-floxedマウスを利用して皮膚ケラチノサイト特異的ATRAP低発現マウス(K14-Cre+/ATRAPfl/fl マウス)及び皮膚ケラチノサイト特異的ATRAP高発現トランスジェニックマウス(K14-ATRAP TGマウス)を作製し、皮膚組織のATRAP発現調節によるアンジオテンシンII刺激による高血圧と心血管障害、及び5/6腎臓摘出・腎障害物質負荷による慢性腎臓病の制御が実現できるかどうかについて検討を行なった。また、臨床的検討として、3)ヒト皮膚組織でのATRAP発現と高血圧、心血管障害、及び慢性腎臓病との関連性の検討も行なった。本研究内容については、横断的解析臨床研究(初回承認番号: B190500008;UMIN ID: 000035688)として、すでに横浜市立大学倫理審査委員会から承認を得て検体収集も行い、発現相関解析等を施行した。上記の研究成果については、2023年度6月開催の日本腎臓学会総会での学術シンポジウムにおいて公表し、現在英文論文投稿準備中である。
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