研究実績の概要 |
慢性B型肝炎(CHB)の化学療法はヌクレオシト系逆転写酵素阻害剤(NRTIs)の出現で予後は大きく改善した。しかし、現在もなお一生涯の服薬が必要で、 薬剤耐性HBVや副作用が問題となり、更に優れた新規抗HBV剤の開発が急務である。HBVキャプシド構成阻害剤(CAIs)はNRTIsとの併用療法の実現で強力な抗HBV効果を発揮すると期待されるが、現在開発中のCAIsでは薬剤耐性発現が報告されており、耐性発現を許容しないCAIsの 同定/臨床 応用は進んでいない。本研究ではそのようなCAIs耐性HBV変異株にも強力で、耐性発現に抵抗、長時間作用型のハロゲン化CAIsをデザイン・合 成・同定し臨床応用を目指した。令和3年度(2021年度)は令和2年度(2020年度)に引き続き、より強力な活性を示す新規化合物のデザイン・合成を継続し新規HBVキャプシド構成阻害化合物の活性評価を実施した。一方で令和2年度までに評価を行なった新規化合物の中で最も抗ウイルス効果が優れていたGRL-12-19(CC50>100μM, IC50=0.004μM)について、我々が既に同定している核酸アナログ E-CFCP(Higashi-Kuwata N. and Mitsuya H. et al. J Hepatol 74:1075-1086, 2021)との併用で抗ウイルス活性評価を実施し、コンビネーション療法の可能性を検討した。
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