生体内の骨髄に存在する造血幹細胞を血清成分やアルブミンをいわゆる液体糊の主成分であるポリヴィニルアルコール(PVA)に代替えすることを発見し生体外により増幅可能にした。このPVAの発見により培養液中のタンパク質の酸化や劣化、さらには精製アルブミンやサイトカインに微量に含まれる不純物が造血幹細胞の未分化性を阻害していることが明らかにした。これらの実験結果から、造血幹細胞の機能や増幅力を低下させない為には完全な無タンパク質培養条件の構築が必要不可欠であると考え、生体内に存在する造血幹細胞(HSC)を完全無タンパク質条件下により培養することで長期間の幹細胞性維持を目指した。本研究では、無タンパク質条件の化学物質で構成された培養室を作成に成功し、ヒト造血幹細胞の増幅を可能にした。
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