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2020 年度 実施状況報告書

CRISPR/Cas9 TGAシステムによるアレルギー疾患の新規治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K21618
研究機関公益財団法人かずさDNA研究所

研究代表者

遠藤 裕介  公益財団法人かずさDNA研究所, 先端研究開発部, 室長 (80612192)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワードエピゲノム編集 / CRISPR-TGA / ぜんそく / アレルギー / Tpath2
研究実績の概要

これまでの基礎研究データの蓄積によりアレルギー疾患を抑制する因子(サイトカイン、転写因子、および代謝物)について、疾患をコントロールするいくつかの有力な候補因子が挙げられている。しかしながら、生理的重要性や治療効果の証明については遺伝子改変マウスに強く依存しており、マウス作製含め検証自体に多くの時間を要することもあるため、臨床応用への距離は未だ非常に遠くなっている。本研究ではアデノ随伴ウイルスを用いた、in vivoで効率良く特定の遺伝子を発現誘導することのできるCRISPR/Cas9 TGA(Target Gene Activation)システムにより、喘息やアトピー性皮膚炎をはじめとしたアレルギー疾患の新規遺伝子治療法を開発し、基礎と臨床の距離を縮めること目標とする。具体的には、これまでのわれわれの免疫アレルギー研究で培ってきたエビデンスを基に、IL-10やIL-27などの抑制性液性サイトカインについては環境細胞を中心に誘導、またEomes、Ezh2、およびDusp10などの内因性制御因子についてはリンパ球に発現させ、アレルギーの場、およびエフェクター細胞の両方をコントロール・沈静化を図る革新的なアレルギー疾患治療の開発を行う。本年度はCOVID-19の影響により昨年度に計画した研究を推進することができなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

COVID-19の影響もあり、所属機関の方針、および協力機関の都合によって、成果とりまとめに不可欠な実験実施が困難であったため。

今後の研究の推進方策

次年度以降は以下に示す研究項目を推進する。
1. アデノ随伴ウイルスを用いたマウス個体レベルでのCRISPR/Cas9 TGAシステム検討
遺伝子誘導活性を示すsgRNAについて、アデノ随伴ウイルス(AAV)に発現させ、濃縮、回収後、マウスへの感染を行う。AAVについては、臓器、および細胞種によって感染のしやすさが大きく異なるセロタイプがある。基本的には、上皮細胞や内皮細胞などの環境細胞についてはセロタイプ9もしくはDJが効率良く感染することからIL-10やIL-27などのサイトカインについてはこれらのセロタイプを中心に検討を行う。さらに最近の研究から、T細胞についてはAAV6が良く感染することが報告されているため、AAV6についても同様に検討を行い、感染後の各種細胞集団についてセルソーターを用いて回収し、目的の遺伝子が高発現で認められるか定量的PCRを用いて解析する。発現誘導が認められたサンプルについては感染後どの期間まで持続的に発現し続けるか、臓器ごと(特に肺と皮膚については重点的)に時系列を追って確認作業を行う。

2. CRISPR/Cas9 TGAシステムによる喘息およびアトピー性皮膚炎の制御
発現誘導が認められたsgRNAおよびAAVセロタイプを用いて喘息・アトピー性皮膚炎への影響について検討を行う。喘息については、OVAおよびIL-33を複合使用することで、非常に強い抗原特異的な喘息症状を誘導することができる。また、アトピー性皮膚炎については活性ビタミンD3誘導体MC903を用いて顕著なアトピー症状を示す病態を誘導することができる。両アレルギーマウスモデルについては当研究施設において共に確立済みである。喘息病態の指標については、炎症細胞浸潤・病理像解析・サイトカイン産生プロファイル・粘液産生および病態スコアを用いて評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の影響もあり、所属機関の方針、および協力機関の都合によって、成果とりまとめに不可欠な実験実施が困難であったため。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] A simple method for In-depth proteome analysis of mammalian cell culture conditioned media containing fetal bovine serum.2021

    • 著者名/発表者名
      Nakamura R., Nakajima D., Sato H., Endo Y., Ohara O., and Kawashima Y.
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 5 ページ: 2565

    • DOI

      10.3390/ijms22052565

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A long noncoding RNA regulates inflammation resolution by macrophages through fatty acid oxidation activation.2020

    • 著者名/発表者名
      Nakayama Y., Fujiu K., Yuki R., Oishi Y., Suimye M., Morioka M., Isagawa T., Matsuda J., Oshima T., Matsubara T., Sugita J., Kudo F., Kaneda A., Endo Y., Nakayama T., Nagai R., Komuro I., Manabe I
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA

      巻: 25 ページ: 14365-14375

    • DOI

      10.1073/pnas.2005924117

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 脂質代謝による免疫システムのfine-tuning2020

    • 著者名/発表者名
      遠藤裕介
    • 雑誌名

      感染・炎症・免疫

      巻: 2 ページ: 74-77

  • [雑誌論文] T細胞の活性化と脂質代謝2020

    • 著者名/発表者名
      遠藤裕介
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 5 ページ: 449-455

  • [雑誌論文] 「代謝で免疫を制御する」:脂肪酸代謝による記憶T細胞への運命決定2020

    • 著者名/発表者名
      遠藤裕介
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 1 ページ: 54-60

  • [学会発表] T細胞の機能分化を司る脂質イムノメタボリズム の分子作用点解明2021

    • 著者名/発表者名
      遠藤裕介
    • 学会等名
      第7回JFAS
    • 招待講演
  • [学会発表] 免疫システムと病気~代謝からアレルギーの克服を目指す~2020

    • 著者名/発表者名
      遠藤裕介
    • 学会等名
      大人が楽しむ科学教室2020
    • 招待講演
  • [学会発表] T細胞の機能分化を司る脂質イムノメタボリズム の分子作用点2020

    • 著者名/発表者名
      遠藤裕介
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会総会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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