研究課題
臓器の細胞社会の研究では、動物を生きたままの状態で観察するin vivoイメージング技術が重要な手法である。対象の細胞を蛍光レポーターで標識して、多光子レーザー顕微鏡で観察することで、生きた動物の臓器内の細胞の“生きざま”を直接観察する手法であり、各細胞の時空間動態や、細胞間相互作用を明らかにできる。本手法は、すべての血液細胞を生み出す造血幹細胞の研究分野でも有用であると考えられてきたが、in vivoイメージングが可能な、高輝度かつ特異的に造血幹細胞を標識するレポーターやニッチのランドマークの同定法が見出されていなかった。近年研究代表者はこれを可能にするレポーターや生体染色法を見出して、いよいよ造血幹細胞のin vivoイメージング研究が可能な状況となった。一方これまで研究代表者は、骨髄に住まう造血幹細胞を制御する微小環境(ニッチ)因子として、骨髄内の低い酸素分圧が重要であることを報告してきた。そこで本研究では骨髄ニッチの酸素分布の時空間解析を可能にする新たな技術を開発する。第二年度は前年度に引き続き、造血幹細胞の位置情報付き動態解析を実施し、細胞動態の検討を詳細に実施した。また、局所酸素分圧の測定も実施して、造血幹細胞の時空間情報と同時に検討することが可能であることを示唆する知見を得た。さらには、独自に開発した骨髄の酸素分圧を局所操作する技術、TCA法を利活用して、組織内の造血幹細胞動態や酸素分圧分布に生じる変化の有無を検証した。以上の成果は骨髄の造血幹細胞や酸素分圧を含むニッチ情報を解析するための新たな手法を与えるものであると考えられた。
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