研究課題
ゲノム編集技術は研究分野のみならず、治療開発への応用が強く期待されている。申請者は挑戦的研究(萌芽)H30-31によりゲノム編集システムを搭載した高効率レンチウイルスベクターを開発し、多重ゲノム編集により同時に複数の遺伝子改変を導入する革新的手法に成功した。本研究では、高効率多重ゲノム編集技術をCAR-T細胞開発へ応用し、新規がん免疫治療に展開することを目的とする。本課題は、CAR-T細胞の生体内維持及び免疫応答の機序解明のみならず、難治性がん治療開発に直結した実践的研究である。当研究室にてmesothelin scFv, CD19 scFvを各々搭載した第三世代CARベクターを構築し、C57BL/6マウスから分離したT細胞へ導入してmesothelin-CAR-T細胞、CD19-CAR-T細胞を作成した。C57BL/6由来のmesothelin導入マウス膵癌細胞株、CD19導入マウスCdh1:Trp53変異スキルス胃癌細胞株を多重ゲノム編集にて作成し、各CAR-T細胞が特異的に反応して殺細胞作用を示すことを確認した。NSGマウスを用いた移植腫瘍モデルにより、CAR-T 細胞のin vivo腫瘍縮小効果を検出したが、C57BL/6マウスを用いた同系統移植腫瘍モデルでは、CAR-T 細胞の腫瘍縮小効果が減弱することを見出した。そこで、マウスCAR-T細胞にsgRNA GeCKOライブラリーを導入してin vivo CRISPRスクリーニングを施行し、3種類の治療抵抗性遺伝子候補を同定した。多重ゲノム編集により3種類全てノックアウトしたCAR-T細胞を作成した結果、同系統移植腫瘍モデルにおける治療効果が著しく増強されることを明らかにした。さらに多重RNA編集を用いたノックダウンにて同治療効果が得られることを見出し、より安全性が高いCAR-T治療開発を推進することが可能となった。
分子腫瘍医学研究室ホームページhttp://www.tmd.ac.jp/grad/monc/
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https://www.tmd.ac.jp/press-release/20210824-1/