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2020 年度 実施状況報告書

抗菌性ポリマーを利用した感染制御性人工血管の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K21630
研究機関名古屋大学

研究代表者

碓氷 章彦  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30283443)

研究分担者 齋藤 明広  静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (50375614)
成田 裕司  名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378221)
小土橋 陽平  静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (60723179)
緒方 藍歌  名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (70718311)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワード人工血管 / 感染 / 抗菌性高分子 / 血液適合性
研究実績の概要

人工物を留置する手術では、術後感染が発症すると難治化しやすく、基本的にはその人工物を除去しなければ治癒しない。心臓血管外科領域では、人工心臓や人工弁、人工血管など人工臓器を用 いた手術が多く、感染に対するマネージメントは重要な課題である。中でも大動脈手術後の人工血管感染は生命予後に直接影響し、最も管理に難渋する疾患群であることから、安定した抗菌作用を持った人工血管の開発が望まれている。
現在までに、抗菌性高分子であるpoly(METAC)を含有する種々の共重合体を合成し、それらの物理化学的な性質を評価した。共重合体は、METACユニット、カルボキシ基、ベンゾオキサボロール基を含有する。カルボキシ基およびベンゾオキサボロール基は、ポリビニルアルコール(PVA)との架橋構造を構築する為に導入された。
人工血管の材料となる共重合体とウサギ由来の赤血球を接触させたところ、共重合体の組成を変化させることで、高い高分子濃度においても10%以下の溶血率を示し、比較的に高い血液適合性を有することが示唆された。もうひとつの材料であるPVAは高い血液適合性を示すことが知られている。また、人工血管に加工する為に、ポリビニルアルコール(PVA)と混合し熱架橋を行うことでフィルム化することに成功した。フィルムは、親水的な共重合体およびPVAから構成されるにもかかわらず、水に溶解しない。80℃の多量の水に3時間浸漬させてもほぼ100%残存した。架橋を施さない高分子フィルムは、同様の条件にて完全に水に溶解する。ガラス転移温度や融点、分解温度などを測定し、最適な共重合体および混合比を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通りに進んで成果を得られているため、概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

異なる種類の架橋構造を導入することで、含水していても高い機械的な強度を発揮できることから、今後は、フィルム内に異なる架橋構造を導入するなど、機械的な強度の増加も試みる。また、in vitroにて黄色ブドウ球菌や緑膿菌などの細菌に対する抗菌性を評価する。その後、プロトタイプとして抗菌性高分子を血管型に成型加工を行い、動物実験にてプロトタイプを皮下埋植して経常評価や組織学的な評価も行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

情報のアップデートおよび得られた知見を公表するための国内外旅費を当初予定していたが、学会や研究会はweb参加となり、旅費の使用額に差が生じた。また、実験計画で動物での評価を予定していたため動物購入費や動物飼育費の費用を計上していたが、本年度ではポリマー条件検討が主体となったため、使用額に差が生じた。次年度では、当初の計画通り動物実験を行うため、そのための費用として使用する計画である。

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公開日: 2021-12-27  

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