研究課題/領域番号 |
20K21633
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大塚 隆生 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20372766)
|
研究分担者 |
山口 浩 東京医科大学, 医学部, 兼任准教授 (20510697)
三森 功士 九州大学, 大学病院, 教授 (50322748)
又木 雄弘 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任講師 (10444902)
蔵原 弘 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (70464469)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
キーワード | IPMN / 膵癌 / クローン拡大 / ゲノム |
研究実績の概要 |
IPMN切除新鮮凍結標本の全ゲノム解析の結果をもとに腸型、非腸型に分けて特徴的な変異パターを検索したが、両者間での明らかな差異を同定できなかった。すなわちドライバー遺伝子変異がIPMNの各組織亜型への進展に影響を及ぼしているわけではないことが明らかとなった。これは腸型IPMNや併存膵癌が胃型IPMNを同一起源として発生し、その後様々な修飾を受けて違う表現形の腫瘍に変化していくという当初の仮説に合致する。現在、この解析結果に基づき、target sequenceにより同一膵内に発生したIPMNと併存膵癌、あるいは胃型IPMNと腸型IPMNの遺伝子変異の差異を解析し、胃型IPMNから腸型IPMNや併存膵癌へ形質転換していく際の遺伝子変異の同定を目指す。またより高品質の新鮮標本検体の採取法と保存法を検討し、今後の解析に活用していくシステム構築も行っていく。 十二指腸液を用いたIPMN併存膵癌発生高リスク群の同定に必要なマーカー探索についてはサンプル採取のための体制づくりが整いつつある。この解析により膵全体がIPMNの発生母地となっていく過程で、背景膵に起こっている遺伝子変異を同定していく予定である。可能であれば術前に十二指腸液サンプルを採取し、切除標本から得られた遺伝子変異プロファイルとの比較を同一患者内で行いたいと考えている。また早期の膵癌治療に向けた新規技術として低侵襲ロボット支援膵切除術を導入する予定であり、2020年度中に必要なトレーニングと資格をすべて取得し、2021年度中に手術を開始する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ゲノム解析が終了したものの、同一膵内に発生したIPMNと併存膵癌の遺伝子変異的差異を同定できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
RNA sequenceやプロテオミクス解析を通して、遺伝子変異解析で網羅しきれない分子マーカーの変化を同定するようにする。またマーカー探索に必要な十二指腸液を可能な限り多数採取・ストックし、有望なマーカーが同定できた際の一括解析に備える予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響を受け、予定していた情報収集目的の学会参加が出来なかったことと、人件費として計上していた分もコロナウイルスの影響で、鹿児島と県外の往来が出来なかった為。次年度では、参加可能な学会に参加しつつ、コロナウイルスの蔓延状況を確認しながら、研究補助等の人件費として使用していく予定である。
|