研究課題/領域番号 |
20K21638
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
横山 詩子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70404994)
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研究分担者 |
上野 高義 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60437316)
金谷 知潤 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教 (50793262) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 再生医療 / 循環器 / メカニカルストレス / 細胞・組織 / バイオテクノロジー |
研究実績の概要 |
再生医療や組織工学の進歩により生体組織の代替材料の開発が進んでいるが、弾性や剛性といった高い力学的特性を求められる血管は生体材料で作製することは非常に困難である。すなわち、血管グラフトは再生医療では大きく取り残された領域である。臓器は多様な細胞外マトリクスの複合体(=マトリクソーム)が適切に構築されて本来の機能を発揮することから、現在の人工血管は極めて非生理的であり、石灰化や成長に伴う狭窄など問題点が多い。また、異種脱細胞組織も細胞外マトリクス糖鎖の抗原性のため長期耐用性は無いことから、次世代人工血管が求められている。本研究は、超高圧低酸素培養法を用いてヒト由来細胞由来の細胞外マトリクスのみから構成される生理的な人工血管を作製し、大型動物でその耐用性・成長性を検討することを目的とした。 本年度は、低酸素下加圧培養における細胞外環境に対するセンシングメカニズムについて検討した。前年度に得られたRNAseqデータからの候補遺伝子を中心に検討を行ったところ、低酸素下加圧に応じて核内移行する転写因子とその標的分子が同定された。この分子を介して細胞間接着が亢進し、強固な細胞シートができることが示された。さらに、臍帯血管平滑筋細胞において細胞と細胞外マトリクスの接着を促すインテグリンサブタイプ2つを同定し、これらが低酸素下加圧条件で発現が亢進することを見出した。これらの結果より、良好な細胞シートの作製に低酸素下加圧培養が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低酸素下加圧培養における細胞外環境に対するセンシングメカニズムの一端を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト血管平滑筋細胞の高圧力・低酸素感知機序の一端が明らかになったことから、細胞シート作製のための細胞選択の条件検討を進める。また、脱細胞化を行い移植実験の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞外環境に対する細胞内センシングシステムの解析に時間を要し、これに係る費用は最小限に抑えることができたため次年度使用額が生じた。次年度は細胞の拡大培養に必要な物品・試薬、移植準備のための支出を予定している。
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