研究課題/領域番号 |
20K21640
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 教授 (10447162)
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研究分担者 |
大沢 伸一郎 東北大学, 大学病院, 助教 (00813693)
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, 特任准教授 (80536748)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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キーワード | 衝撃波 / 爆傷 / 外傷性脳損傷 / 脳神経外科 / 災害医療 |
研究実績の概要 |
爆風脳損傷は、衝撃波を先行、かつ主成分とする爆風による脳損傷で、目に見えない外力によるため、機序、予防については解明されていない点が多い。東北大学学際衝撃波研究拠点は1970年以降世界的に拠点として衝撃波の医療応用、さらには衝撃波の学際研究を推進してきた。本研究の目的は、第一に閉鎖空間内で爆風損傷の先行、かつ主要成分を占める衝撃波の体内伝播動態を明らかにすること、第二に衝撃波による外傷性脳損傷を防止する技術開発に向け基礎的知見を得ることである。具体的には閉鎖空間内の反射・干渉により生体内に伝播する衝撃波を空間構造と材質で損傷閾値以下に減衰することに関して非臨床(動物実験)概念実証を確立することである。 4年目の本年は、東北大学流体科学研究所で実施してきた模擬モデル(不織布干渉による衝撃波圧力低減効果)実験(単純閉鎖空間内の衝撃波伝播動態解析および理論解析を継続するとともに、模擬モデル実験では、単純閉鎖空間内で発生する衝撃波による生体内伝播衝撃波の減弱効果を材質、壁面計状の変化による効果を可視化、圧測定および理論解析、複雑閉鎖空間内の衝撃波伝播動態・模擬生体内衝撃波伝播動態解析を実施した。その結果、昨年度までの難燃性不織布との干渉による知見(衝撃波伝播速度が低下し、ピーク過剰圧が低下する点、不織布を重ねて干渉(作用)する長さが増すことで、ピーク過剰圧がより低下するが、伝播速度はほぼ変化しない点、顕著な反射波は発生しない点)に加え、遮蔽効果物における音響インピーダンスが一定以上異なる媒体のほうがインピーダンスミスマッチによる過剰圧減衰効果が得られる可能性示唆された。本研究の結果、爆風損傷における、一次損傷から四次損傷まで含めた損傷防止効果に関する基礎的知見が得られ、今後は外傷性脳損傷を防止手段の社会実装に向け検討をすすめる。
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