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2021 年度 実施状況報告書

超音波併用脳内局所広範囲薬剤投与法を用いた画期的なアルツハイマー病新規治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K21641
研究機関名古屋大学

研究代表者

齋藤 竜太  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10400243)

研究分担者 下田 由輝  東北大学, 大学病院, 助教 (30815444)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード薬剤送達 / アルツハイマー病 / 中枢神経系
研究実績の概要

アルツハイマー病モデルマウス5xFAD (B6.Cg-Tg (APP SwFlLon, PSEN1 *M146L*L286V) 6799Vas/ Mmjax)を用いて研究を進めたが、、アミロイド染色にばらつきがあることが判明し、切片染色の最適化を行った。結果として免疫抗体染色によりきれいにアミロイドを検出できることを確認した。引き続いて、薬剤候補としていたネプリライシンをマウス海馬へ投与し、アミロイド沈着の増減を確認した。結果として、アルツハイマーモデルマウスの海馬において、ネプリライシン投与後にアミロイド沈着が減弱することを確認した。ただ、動物間で結果にばらつきが生じていることが分かり、この原因として海馬が小さいことにより薬剤投与の正確性に問題が生じている可能性が考えられた。アルツハイマー病モデルマウスにおいては、海馬以外の全脳にもアミロイド蛋白の沈着を認めることから、より薬剤投与において標的としやすい線条体で安定してアミロイド蛋白の減量が確認できるかを確認した。その結果、線条体ではネプリライシン投与後にかなり広範にアミロイド沈着の抑制が認められることが判明した。線条体は、薬剤投与研究において頻回に使用される標的であることから、薬剤の分布も検討しやすくなるという利点があり、まずは線条体で今後の研究を進める方針とした。現在、個体数を増やして検証を進めているが、これで投与薬剤が決まると考えている。東北大学医学部動物実験施設の改修に伴う使用停止があり、モデルマウスの飼育ができない期間があったために研究の進行は順調とは言えないものの、薬剤候補の決定は間もなく可能であるなど、段階を踏みながら研究を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

アルツハイマー病モデルマウス5xFADは本来、脳内広範囲にアミロイド沈着を認めるモデルであるが、当初の研究ではコンゴーレッドを用いたアミロイド染色を使用したが、アミロイドの沈着にばらつきがあることが判明。アミロイド染色を再検討する必要が生じた。免疫抗体法による検討を行ったところ、全脳へのアミロイド沈着をしっかり確認できることが分かり、その後の研究は免疫抗体法を使用することに決めた。アルツハイマー病モデルマウス5xFAD (B6.Cg-Tg (APP SwFlLon, PSEN1 *M146L*L286V) 6799Vas/ Mmjax)の海馬にネプリライシンをConvection-enhanced delivery法(脳内局所薬剤広範囲送達法)で投与したところ、3日後の脳切片において明らかにアミロイド沈着が軽減することが確認された。ただ、この観察は個体間に差があることも分かった。この主たる原因は薬剤標的とした海馬が小さいため、しっかり標的できていなかった可能性が考えられた。そのため、薬剤投与研究において頻回に薬剤投与標的としてきた線条体で再度検討することとした。その結果、同様に薬剤投与3日後に広範にアミロイド沈着の抑制が認められることが判明した。この研究に続いて薬剤分布の範囲とアミロイド沈着抑制範囲の比較を検討することとしていたため、その目的にも線条体が良いと考えられ、今後の研究を線条体で実施することとした。現在個体数を増やして検証を進めている。ただ、東北大学医学部の動物実験施設が改修のため、一時期マウス飼育ができなくなるなど、研究停止を余儀無くされた。現在、再開に向けて準備を進めている。

今後の研究の推進方策

出来るだけ早期の研究再開に向けて準備を進める。その間に個体数を増やした検証の結果は得ることができるため、投与薬剤の決定は可能と考えている。続いて、行動研究など実際のアルツハイマーモデルマウスに対する症状修飾が可能かを検討することになる。海馬への投薬が望ましいと考えているが、上述の通り、海馬へいかに正確に薬剤投与を行うかが問題となる。まずは効果が得られるマウスが存在するか否かを検討し、観察後にその脳切片を確認することを考えている。効果が得られる個体があるならば、その個体ではアミロイド沈着が減じている可能性があり、逆に効果が得られない個体ではアミロイド沈着が減弱していない(これは標的に対する薬剤投与ができていないことになる)ことを証明できれば、研究として完了するものと考えている。

次年度使用額が生じた理由

東北大学動物実験施設が改築となり、研究不可となった期間があること、コロナ禍の影響により当初予定していた研究に用いる試薬などが入手困難であったり、国外からの入荷が出荷先から制限されていたため購入することができなかったため。研究再開のための経費(動物モデル再構築)に使用するとともに研究試薬(ネプリライシン、免疫染色用抗体)の購入を予定している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 特集 Precision Medicine-個別化医療を目指した遺伝子診断と新治療の知見 Ⅰ悪性脳腫瘍 Diffuse midline glioma2022

    • 著者名/発表者名
      齋藤 竜太
    • 雑誌名

      Neurological Surgery 脳神経外科

      巻: 50 ページ: 29~38

    • DOI

      10.11477/mf.1436204529

  • [雑誌論文] 特集 グリオーマ-現在の常識と近未来のスタンダード Ⅳグリオーマ治療法update 化学療法2021

    • 著者名/発表者名
      齋藤 竜太
    • 雑誌名

      Neurological Surgery 脳神経外科

      巻: 49 ページ: 588~596

    • DOI

      10.11477/mf.1436204432

  • [雑誌論文] Effects of oxytocin on responses to nociceptive and non-nociceptive stimulation in the upper central nervous system2021

    • 著者名/発表者名
      Saito Hidehisa、Hidema Shizu、Otsuka Ayano、Suzuki Jun、Kumagai Michio、Kanaya Akihiro、Murakami Toru、Takei Yusuke、Saito Kazutomo、Sugino Shigekazu、Toyama Hiroaki、Saito Ryuta、Tominaga Teiji、Nishimori Katsuhiko、Yamauchi Masanori
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 574 ページ: 8~13

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2021.08.042

  • [雑誌論文] H3K27M and TERT promoter mutations are poor prognostic factors in surgical cases of adult thalamic high-grade glioma2021

    • 著者名/発表者名
      Osada Yoshinari、Saito Ryuta、Shibahara Ichiyo、Sasaki Keisuke、Shoji Takuhiro、Kanamori Masayuki、Sonoda Yukihiko、Kumabe Toshihiro、Watanabe Mika、Tominaga Teiji
    • 雑誌名

      Neuro-Oncology Advances

      巻: 3 ページ: vdab038

    • DOI

      10.1093/noajnl/vdab038

  • [学会発表] 脳腫瘍治療成績向上を目指して2021

    • 著者名/発表者名
      齋藤 竜太
    • 学会等名
      第80回日本脳神経外科学会学術総会
  • [学会発表] Visualization of drug delivery in local convection-enhanced delivery against brain tumors2021

    • 著者名/発表者名
      Ryuta Saito
    • 学会等名
      AIMS Neuro Imaging 2021
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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