研究課題/領域番号 |
20K21645
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡崎 睦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50311618)
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研究分担者 |
栗田 昌和 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20424111)
金山 幸司 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40612601)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 組織再生 / 脂肪 / 乳房再建術 / アデノ随伴ウイルスベクター |
研究実績の概要 |
本研究では、量的に組織の欠損した部位に、局所的な脂肪組織増生を呈する遺伝子疾患の病因となる変異遺伝子をアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を用いた遺伝子導入によって一過性に発現させることによって軟部組織の増大を図る、新しい組織新生誘導法の開発を進めている。 バンクより入手したCLOVES症候群などPIK3CA関連過成長症候群(PROS)の原因遺伝子となるPI3Kの代表的な恒常的活性型変異(以下actPIK3CA)であるp110*PIK3CAキメラタンパクのコーディングシーケンスを入手しクローニングを進める準備を進めた 。 一方、組織発生学的な観点から局所的な脂肪増生シグナルを与えうる2つの遺伝子についてin vivo遺伝子導入用のAAVを作成し、実験動物皮下に注入したところ皮膚直下の脂肪組織の増生を得たが 、質量増大、いわゆる組織増大につながる皮下領域の脂肪組織に対する影響は小さかった。当該領域の組織量をより正確に定量しうる動物モデルを検討し、組織学的検討方法まで含めて最適化を進めた 。 In vivoにおいて組織増大を与えるメカニズムを明らかにするためのin vitro解析系として、皮膚皮下組織間葉系細胞由来のを最適化し、本質的な脂肪分化能を有する細胞においてのみ成熟した脂肪滴が認められる特異性を有した評価系になりえることを確認した。 ここまでの研究において確立した動物モデルを用いてp110*PIK3CAキメラタンパクをはじめとする脂肪増生候補因子のin vivoにおける影響を調べ、最適化した組織様培養法を用いた評価系を用いてそのメカニズムを明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を進める核となるアデノ随伴ウイルスベクター作成系、正確に定量評価を行うための動物モデル、メカニズムを明らかにするための組織様培養実験系など、実験計画を進めるために必要となる基本的な実験系を確立することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画において予定していたp110*PIK3CAキメラタンパク、変異型AKT1タンパクを発現するAAVの作成を進め、評価系まで含めて確立してきた動物モデルにおいて、当該遺伝子の導入による脂肪組織変化量の解析を進める。 さらに組織様培養実験系を用いた刺激試験、抑制試験を加えることによって、当該遺伝子導入によって脂肪組織増大にいたるメカニズムを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で基本的な検討に用いている実験試料について、研究室保有のものを基本としてコンストラクト改変を進めたところ、本研究において高い有効性を示す試料を得ることができた。一方で当初想定したよりも反応の進まないクローニング系も存在したことから、次年度以降に新規試薬を導入し、プロトコールの改変・試行によって当初の目的とする評価を進めるため。
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