研究課題/領域番号 |
20K21647
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
榎本 隆之 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90283754)
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研究分担者 |
井ノ上 逸朗 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (00192500)
吉原 弘祐 新潟大学, 医歯学系, 研究准教授 (40547535)
安達 聡介 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50613147)
田村 亮 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70650620)
石黒 竜也 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80625690)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 単一腺管シークエンス / 正常子宮内膜 / 子宮内膜症 / 卵巣癌 |
研究実績の概要 |
卵巣明細胞癌は子宮内膜症から発生する日本人に多い癌である。特に化学療法抵抗性であり、進行及び再発症例の予後は極めて不良であるが、明細胞癌に特化した分子標的薬は臨床応用されていない。子宮内膜症から卵巣明細胞癌が発症するメカニズムの解明は、我々産婦人科医にとって喫緊の課題である。これまでに卵巣明細胞癌ではARID1AとPIK3CA遺伝子変異が発症に関与していることが報告されていた。しかし、我々の子宮内膜症ゲノム解析の結果から、ARID1AとPIK3CAを含めた癌関連遺伝子の変異はすでに子宮内膜症に存在し、卵巣明細胞癌の発症にはさらなる遺伝子異常が必要であることを明らかにしている。そこで、本研究の目的は、子宮内膜症から卵巣明細胞癌への移行部位に注目して、シークエンスを行うことで、子宮内膜症から卵巣明細胞癌に移行するにつれて蓄積されるゲノム・エピゲノム異常を細胞レベルで明らかにし、卵巣明細胞癌の発症メカニズムを解明することである。本年度は、正常子宮内膜における癌関連遺伝子に焦点を当てて解析を行った。32名の女性から891本の単一腺管を収集し、ターゲットシークエンスを行った結果、正常子宮内膜で変異の頻度の高い遺伝子はPIK3CAとKRASで、それぞれ全体の15.6%、10.9%で変異を認めた。また、遺伝子変異量は、年齢と累積月経回数との間に強い正の相関を認めることを明らかにした。さらに、年齢で補正後、初経年齢は弱い負の相関を認めたが、分娩回数との相関は認めなかった。加齢の影響よりも累積月経回数の影響の方が強くなっている点は、子宮内膜独自の特徴といえるかもしれない。
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