研究課題/領域番号 |
20K21651
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大黒 多希子 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (30767249)
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研究分担者 |
水本 泰成 金沢大学, 附属病院, 講師 (00420331)
藤原 浩 金沢大学, 医学系, 教授 (30252456)
安藤 仁 金沢大学, 医学系, 教授 (50382875)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 子宮がん / マウスモデル / 概日リズム |
研究実績の概要 |
近年様々な臓器での概日リズムの乱れが糖尿病や心臓血管系疾患などの生活習慣病の発症に関わっている可能性が指摘され、さらにがん細胞においても概日リズム異常の関与を示唆する報告がなされている。しかしながら、がんの自然発症モデルを用いてこの関係を直接証明した報告はない。そこで本研究では「子宮体癌・肉腫の発生と進展に末梢時計遺伝子の異常が関与する」との仮説を掲げ、申請者らが作製したPten欠損子宮体癌マウスや子宮肉腫マウスを基調にして新たに子宮特異的にBmal1時計遺伝子を追加欠損させたマウスを作出し、子宮体癌の発生と子宮体癌・肉腫の筋層浸潤やリンパ節転移などに対する時計遺伝子の関与について検討する。 本年度は、まず申請者らが作製した子宮体癌自然発症マウスモデルPten-PRcreおよびp53-Pten-PRcreマウス、子宮体癌前癌組織を自然発症するPten-LTFcreマウスにおいて、概日リズムで重要な役割を担うBmal1などの日内周期を検討した。また、子宮上皮特異的にBmal1とPtenを欠損させたBmal1-Pten-LTFcre マウスおよびBmal1-Pten、Bmal1-p53のダブルKOマウス(Pten-Bmal1-PRcre、Bmal1-p53-LTFcre、Bmal1-p53-PRcre)およびトリプルKOマウス(Bmal1-p53-Pten-PRcre)を作製し、一部のマウスの癌の発生、子宮筋層浸潤、リンパ節転移の、またP4投与し肉腫の子宮筋層浸潤、リンパ節転移の有無と時期及びその頻度の変化を検討するために、組織学的解析を行った。その結果、Bmal1の有無で、がんの発生・進展に差がある可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、遺伝子改変マウスの作製を行うとともに、組織学的解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も引き続き、作製した、子宮上皮特異的にBmal1とPtenを欠損させたBmal1-Pten-LTFcre マウスおよびBmal1-Pten、Bmal1-p53のダブルKOマウス(Pten-Bmal1-PRcre、Bmal1-p53-LTFcre、Bmal1-p53-PRcre)およびトリプルKOマウス(Bmal1-p53-Pten-PRcre)マウスを用いて、癌の発生、子宮筋層浸潤、リンパ節転移の、またP4投与し肉腫の子宮筋層浸潤、リンパ節転移の有無と時期及びその頻度の変化について、組織学的解析を行う。さらに子宮とリンパ節組織の凍結切片よりlaser capture microdissection法により子宮と転移巣の上皮組織と間質組織に分けて単離してmRNAを抽出し、Bmal1遺伝子の欠損により発現変化した遺伝子群をmicroarray法で解析・同定する。さらに、Bmal1-Pten-p53-PRcre マウスとBmal1-Pten-p53-LTFcre を用いて、癌の発生、子宮筋層浸潤、リンパ節転移の、またP4投与し肉腫の子宮筋層浸潤、リンパ節転移の有無と時期及びその頻度の変化について、組織学的解析を行う。また、組織学的な変化があった場合、子宮とリンパ節組織の凍結切片よりlaser capture microdissection法により子宮と転移巣の上皮組織と間質組織に分けて単離してmRNAを抽出し、Bmal1遺伝子の欠損により発現変化した遺伝子群をmicroarray法で解析・同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子改変マウスの作製数が予定より若干少なかったため、関わる費用が、予定よりも若干少なくなった。本年度は、維持するマウスの匹数が予定より若干増えるため、その費用として使用する。
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