研究課題
これまでの研究から結晶構造にオステオポンチン(OPN)が重要な働きを示すことは明らかになった。さらにOPNはマクロファージ(Mφ)とも密接に関与していおり、生体から得たOPNがMφの結晶付着に及ぼす影響については報告されていない。そこで本研究では、OPN-KOマウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)において、OPNが結晶付着に及ぼす影響を評価した。BMDMは8週齢のOPN-KOマウス(C57BL/6J)から採取した[OPN-BMDM]。比較のため、同週齢のC57BL/6JマウスからBMDMを採取した[OPN+BMDM]。シュウ酸カルシウム一水和物(COM)を添加し、6時間後にCOMの付着量、炎症遺伝子(Il6、Tnf)、細胞接着因子遺伝子(Intgav、Intb3)を評価した。また、IPAソフトウェアを用いて機能アノテーションを行い、同定されたペプチドについて、相対的および絶対的な発現倍率の値を決定し、コアIPA解析を行った。結晶接着量はOPN+-BMDMで2.17μm2/細胞、OPN--BMDMで2.55μm2/細胞であった(P<0.05)。OPN-BMDMにおける遺伝子の発現は、OPN+-BMDMに比べ、Il6:0.34倍(P < 0.05)、Tnf:0.65倍(P = 0.19 )、Intgav:0.80倍(P = 0.41)、Intgb3:1.61倍(P < 0.05 )であった。IPAコア解析の結果、CREB及びS100 Family Singnaling、Phagosome Formation、Stahimin1関連の乳癌制御など、複数の経路の抑制を認めた。これらの結果から、OPNが結晶構造に重要な蛋白であると同時に、その由来としてMφなどの免疫細胞系のシグナル伝達や貪食機能を制御することで結晶形成に関わることが示唆された。
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Scientific Reports
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