研究課題/領域番号 |
20K21665
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松村 謙臣 近畿大学, 医学部, 教授 (20452336)
|
研究分担者 |
村上 幸祐 近畿大学, 医学部, 講師 (60734671)
高矢 寿光 近畿大学, 医学部, 講師 (60734689)
宮澤 正顯 近畿大学, 医学部, 教授 (60167757)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 卵巣癌 / 子宮内膜症 |
研究実績の概要 |
最近の研究では、正常子宮内膜のがん関連変異が報告されており、子宮内膜の変異は、子宮内膜症や子宮内膜症関連卵巣癌の原因となる可能性がある。我々は、ホルマリン固定パラフィン包埋標本から卵巣癌および子宮内膜症患者の子宮内膜における3つのホットスポット(E542K、E545K、H1047R)のPIK3CA変異をレーザーマイクロダイセクションおよびdigital dropletPCRにより調べた。正所性子宮内膜腺におけるPIK3CA変異は、腫瘍にPIK3CA変異を有する卵巣明細胞癌11/14例で20/300ホットスポット、PIK3CA変異を有しない卵巣明細胞癌11/12例で42/78ホットスポット、高悪性度の漿液性卵巣癌3/5例で8/45ホットスポット、子宮内膜嚢症5/6例で5/63ホットスポットに認められた。これらの割合は、正常コントロールの症例(5/17例で7/309ホットスポット)よりも高頻度であった。PIK3CA変異を持たない卵巣明細胞癌では、7/12の症例で、同じ子宮内膜腺に複数のホットスポット変異が認められた。PIK3CA変異を有する卵巣明細胞癌の腫瘍において、8例中3例で腫瘍内不均一性が認められ、腫瘍の上皮成分における均質なPIK3CA変異が、正所性子宮内膜腺における変異と一致したのは1例のみであった。以上より、内膜症関連卵巣癌におけるPIK3CA変異はその発生起源である正所性子宮内膜腺の時点からではなく、むしろ腫瘍形成後に獲得したものであることが多いことが明らかとなった。
|