研究課題/領域番号 |
20K21670
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
岩田 隆紀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (60431946)
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研究分担者 |
前川 祥吾 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (20793574) [辞退]
片桐 さやか 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 准教授(キャリアアップ) (60510352)
大杉 勇人 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (80846791)
芝 多佳彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (90802306)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 超小型次世代シーケンサー / 口腔内細菌 / 歯周病 / インプラント周囲炎 / 顎骨壊死 / 次世代シーケンサー / PCR / 細菌診断 |
研究実績の概要 |
口腔は消化器系の入り口であり細菌叢と共存する器官であるが、強大な外的要因やホスト免疫の変動によりその平衡が破綻するとディスバイオーシスが起こり、齲蝕や歯周炎のみならず、インプラント周囲炎や顎骨壊死などの様々な細菌に起因すると考えられる疾患が誘発される。一方、患者個人レベルでの最適な診断および治療を施すプレジション・メディシンにおいては次世代シーケンサーの活用が進められており、唾液や組織などの検体から核酸情報を抽出し、網羅的に解析することにより定量的な細菌の同定が可能ではあるものの、巨大な解析装置・解析時間・コスト等の問題から一般普及に至っていない。本研究ではUSBサイズの解析チップで10分でサンプル調整可能、かつ安価な超小型シーケンサーを用いて、クリニカルシークエンスを導入することでチェアサイドでの迅速かつ確実な細菌診断技術の確立を目指す。 本年度は、昨年度に採取した健常者唾液、難治性歯周炎患者の唾液ならびにインプラント周囲炎それぞれ3サンプルずつ合計9サンプルに加えて、前述の3群についての追加の4サンプルと、顎骨壊死患者の壊死部を4サンプル採取した。 また、超小型シーケンサーを用いたシーケンス手法についても最適化し、実験室レベルでのシーケンスデータの安定した取得方法を最適化した。さらに、取得したデータは、通常ノート型パソコンからスーパーコンピューターShirokaneに接続することで、その豊富な計算ノードを利用したさらなる迅速な解析が可能であるため、解析から可視化までにかかるパイプラインの構築を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度採取したサンプルに加えて、顎骨壊死のサンプルについても順調に採取を進めている。従来の次世代シーケンサーだけでなく超小型次世代シーケンサーを用いたデータ取得方法の条件検討がほぼ完了したため、解析アルゴリズムの最適化を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度においては、これまでで得られたシーケンスデータを用いて、解析アルゴリズムの策定を実施する。従来、個人が持ち得るパソコンの計算資源には限りがあるため、スーパーコンピューターの持つ膨大な計算資源を利用して、解析アルゴリズムの開発をより加速する。 小型NGSと本研究で構築されたアルゴリズムの組み合わせにより、チェアサイドにおいて組織採取時に即座にサンプル調整し、従来型のベンチトップ次世代シーケンサーがなくてもノート型パソコンがあればどこでも迅速検査を実施できるため、僻地やクリニックなどでも正確な細菌叢検査を実施することが可能となり、難治性口腔内感染症に悩まされている患者・医療者の双方にとって大きな意義を持つと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度前半において、実験サンプルの採取スケジュールが予定より遅延したため、試薬・消耗品・解析費用が予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。年度後半で、予定通り実験サンプルの入手が完了したものの、解析作業が今年度前半にずれ込んだため、次年度に当該予算分を使用予定である。
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